SOHOや中小企業向けネットワーク製品を展開するTP-Link(東京・秋葉原)は今年度中に国内の小売業販売を始める。2020東京五輪へ向け、Wi-Fi環境を整備し始めた地方空港や中小私鉄各駅、高速道サービスエリアなどにも無線LANルータや中継器を売り込む。
これらは同社は9月1日、メディア向けレクチャーで発表したもの。同社はこれまで、国内についてはAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどを販路とし、デュアルバンド ギガビット 無線LANルーター(Archer C9、Archer C7、RE200)などのネットワーク機器を販売していた。今後は小売業での販売を本格展開し、「10年後には国内トップのバッファローなどと肩を並べるほどのシェアを目指す」という。
また、コンシューマー向け市場では、「家庭で使用するデバイスが増えるにつれ、5GHz帯は、2.4GHz帯と同じぐらい混雑している」ととらえ、「60GHz帯を含む802.11ad対応の商品を展開していく」とも伝えていた。
この“超高速”といわれる60GHz帯は、「Wi-Fiの10倍以上」という最大7Gbpsのデータ転送ができる帯域。利用シーンについて同社は「4K動画ストリーミング」「大容量コンテンツのダウンロード」「数百枚の写真などの転送」「ユーザー同士の動画ファイルの転送」などをあげた。
ことし2月には、パナソニックと成田空港が次世代無線通信規格「WiGig」を用いて11adアクセスポイントの実証実験を実施。同社の小売業展開は、2020東京五輪へ向け、空港や駅、サービスエリアなどの公共空間などに“11ad領域”が広がり始めているという背景も、後押ししているともいう。
また同社は、10月から無線LAN中継器のハイエンドモデルRE450(AC1750)を発売予定。「2.4GHzと5GHzのデュアルバンド対応で、最大900平方メートルまで拡張でき、中小空港のラウンジや駅待合室をはじめ、各地のフリースペースなどにも手軽に設置できる」という。同社は今後、「マルチバンド無線ルーター(AD7200)」などの国内投入も視野に入れているという。