低血糖による意識喪失状態で重傷事故---有罪判決

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2014年6月、大阪府大阪市中央区内の国道25号で乗用車を暴走させ、2人に重軽傷を負わせたとして、危険運転致傷の罪に問われた67歳の男に対する判決公判が24日、大阪地裁で開かれた。裁判所は過失致傷罪を適用した有罪判決を命じている。

問題の事故は2014年6月30日の午後4時ごろ発生している。大阪市中央区心斎橋筋2丁目付近の国道25号(御堂筋)を走行していた乗用車は直進車線を横切るようにして右折。交差する一方通行路を逆走し、同じ乗用車に2-3回に渡って衝突を繰り返した後にバック。そのまま国道へバックの状態で進入し、道路を横断していた自転車に衝突した後、自転車をひきずったまま、その奥の路上に駐車されていたトラックへ衝突してようやく停止した。この事故で自転車に乗っていた女性が骨折などの重傷。トラックの運転者も軽傷を負った。

暴走した乗用車を運転していた男(現在は67歳)には糖尿病による低血糖の症状があり、食事後のインスリン投与を必要としていたが、事故当日は仕事の都合で昼食を採る時間が無く、午後3時ごろに低血糖の症状を自覚したことから、血糖値を上げるために車内でどらやき1個とオレンジジュース1本を飲食。その後に昼食を食べに行くため、クルマで移動を開始した直後に意識を失い、事故を起こしたものとみられる。検察は男が低血糖の状態を認識しながら運転を継続させたことが事故につながったと判断。男を危険運転致傷の罪で在宅起訴。公判では危険運転致傷罪で求刑するとともに、予備的に過失致傷罪でも求刑していた。

24日に開かれた判決公判で、大阪地裁の村越一浩裁判長は「被告は自身に低血糖の症状があることは認識していた」と認定し、「こまめに血糖値を測定いれば事故は防げた可能性があった」として、被告に注意義務の怠りがあったと指摘した。

しかし、被告が低血糖による意識障害に陥る認識を有していたかについては、「被告は事故前の3年間、意識障害の症状を発しておらず、低血糖の症状があることは認識していたも、正常な運転ができなくなることを認識するのは困難」として危険運転罪の成立を認めず、罪状を過失致傷としたうえで、被告に対して禁錮1年6か月(執行猶予3年)の有罪判決を言い渡している。

被告弁護側は公判中から危険運転致傷と過失致傷の双方で無罪を訴えており、控訴する見込みだ。

《石田真一》

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