世界自然保護基金(WWF)は7月20日、トヨタ自動車とグローバル・コーポレート・パートナーシップを締結したと発表した。両者は今後5年間にわたり生物多様性の保全と脱炭素社会の実現に向けた様々取り組みを共同で進めていくとしている。
WWFが自動車メーカーとグローバル・コーポレート・パートナーシップを結ぶのは今回が初めて。だが同日都内で会見したWWFジャパンの筒井隆司事務局長は「正直かなり難儀をした」と、選定までには紆余曲折があったことを明かした。
というのも「協会の中で自動車産業に対しての考えとイメージがあって、グレー産業という言葉で実は呼んでいた。どうしてもモータリゼーションの発達とともにCO2をたくさん排出する車が世の中に増えてしまう。それが環境負荷を与えているという事実があったので、そういう産業界と本当に連携をして良いのかという懐疑的な意見もたくさんあった」からだ。
しかも「去年の秋にトヨタとの話し合いがだいぶ煮詰まった時に、ちょうどフォルクスワーゲンの排ガス不正が発覚して、この時期に自動車産業とグローバルパートナーシップを結ぶのかという意見もずいぶんあった」ことも逆風となった。
このため「去年10月に開かれたトヨタ環境フォーラムにWWFインターナショナル事務局長のマルコ・ランベルティーニを呼んで、内山田(竹志)会長以下、加藤(光久)副社長などたくさんの(トヨタの)経営幹部の方々と直接話し合った」という。
その結果、「トヨタの環境チャレンジというのはまったくの本気であって、ただゼロに向かって突き進むだけではなくて、さらにプラスに環境に作用するようなことまで考えている。それ以外にも森林保全の活動をやりたいという話も聞き、なおかつ強いコミットメントも頂いて、これであれば説得する自信があると踏んで、正直かなり難儀をしたが、内部を説得することができた」と筒井氏は振り返った。