【BMW 4シリーズ 試乗】スタイル抜群、乗っているだけで贅沢な気分…中村孝仁

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BMW 430iクーペ
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BMWの『4シリーズ』がエンジンを新しくした。キーワードは82.0×94.6である。

まず上の数字、いったい何を現すかというと、エンジンのボア×ストロークのこと。これを使って、1気筒の排気量を計算すると500ccになる。いわゆるモジュラー型といわれる所以がここにあり、現行の最新型BMWのエンジンは、それが6気筒だろうが4気筒だろうが、あるいは3気筒だろうが、はてはガソリンだろうがディーゼルだろうがすべて、このボア×ストロークを持っている。

今回の『430i』用エンジンも、B48B20Bというコードネームを持つもので、従来のエンジンに対して出力で7ps上回る。一方最大トルクは350Nmで据え置き。最大トルクのトルクバンドは若干狭まって1450~4800rpmである。

ご存知の通り4シリーズは『3シリーズ』から派生したクーペやカブリオレなどをラインナップするシリーズ。そもそもBMWは何故4シリーズを作ったのか。それは単純に3シリーズの束縛から逃れるためだ。クーペ、カブリオレなど、よりパーソナルな車種に特化したシリーズを作るためにはボディ形状に束縛を受けたくない。基本的にプラットフォームは3シリーズながら、車幅とトレッドを拡大し、豊かな造形美と卓越した運動性能を持たせたものが、この4シリーズである。クーペの場合、全幅は1825mm、トレッドは前後1550/1600mmで、当然ながらセダンの3シリーズと比べると幅広く、トレッドも拡大されている。

今や日本市場ではほとんど絶滅危惧種といっても過言ではないクーペと称する乗り物。セダンと同等の室内空間を持ちながら、ドアが2枚足りないという理由で敬遠されがちである。勿論、この形状のモデルは高性能車にはまだまだ健在なのだが、それでも本当の意味での高性能を求めるならば、もっとデザインが奇抜なスーパーカーに到達してしまうようで、普通の性能を持つクーペモデルの空洞化は著しい。BMWもそれを察知してか「グランクーペ」なる、クーペの形を何とか維持しつつ4ドア化(実際は5ドア化)したモデルを投入し、そちらの方がやはり受けがいいらしい。

しかし、写真を見て頂ければわかると思うが、ことスタイリングに関してはやはりクーペに軍配が上がると思う。今敢えてクーペをチョイスできるユーザーは、精神的にも懐的にも贅沢で豊かだということなのだろうか。

で、そんなクーペを富士山周辺で走らせてみた。430iという名前を聞いて、昔のBMWファンならすぐに3リットルエンジンを想像してしまうが、今では排気量2リットル。しかも4気筒である。ツインパワーターボの威力は、今や排気量2リットルでも楽々3リットル並のパフォーマンスを得られるということからその名がついたもの。

実際4気筒とはいえ6気筒並のスムーズさも持っているし(そう言うと新しい6気筒の立場がなくなるから、昔の)、パワーの出し方はとてもしなやかでターボの存在はまず感じない。つまりNAのような加速感を持っているということである。現在4シリーズクーペには同じエンジンで出力をマイルドにした420iと最新の6気筒を搭載したダイナミックな440iの3種があり、パフォーマンスと運動性能の中間値を求めるならこの430i というチョイスになる。とにかく乗っているだけで贅沢な気分になるクルマだった。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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