アイ・シイ・エスは、F1マシンに導入されたミッションギアなどを展示し、自社のDLCコーティング技術を紹介。黒光りするギアのなかには「F1 Honda Racing 撤退記念 2008年」と刻まれたものがあった。リーマンショックなども影響し撤退したホンダのF1マシンのギアだ。
「これは2.4リットル時代のミッションギア。いまのホンダF1マシンにも、うちの技術が採用されている」と担当者。同社は、世界最高峰レースの現場からのオーダーに対し、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)を実施。摩擦係数が小さい、焼き付きにくい、ピッチングに強い、腐食に強い、基材への密着力に優れているといった特徴があり、同社のDLCは「レース用などに高性能膜を開発・提供することで評価されている」という。
同社は「ホンダ側で、テスト走行時に各社のDLCタイプと比較してみたところ、他社の膜は疲労ですぐにはがれ落ちてしまうと。うちのこの膜の強さ、密着力、耐摩耗性などがいいということで、いまも採用されている」とも話していた。その性能について、「コンマ2秒の差」を出してこう伝えていた。
「鈴鹿などのコースで試すと、当社のDLCコーティングを施したマシンと、そうでないマシンとで、1周0.2秒の差が出た。複数回試してもそうなる。このコンマ2秒の差が、実は大きなアドバンテージ」(同)