スズキ鈴木俊宏社長「壁をぶち破る」、チームスズキで閉鎖体質を変えられるか

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燃費データ不正をきっかけに、スズキは新たなCEOをはじめとするチームスズキに生まれ変わることになった(8日・国交省)
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スズキ鈴木俊宏社長は8日、燃費データ不正で内部の自浄作用が働かなかったことについて、組織の風通しについて言及した。

「今でどちらかというと、トップダウンで進めてきた。なかなか上に対して意見を言いづらいということがあったと思う。聞く耳を持つというか、上が下がっていってでも聞くことが必要。下から自由に意見が出るように変えていかないといけない。そのような体質に変えていく。部長、課長、係長クラスの意見を私自身が聞けるようにしていきたい」。

国土交通省への追加報告の中に、スズキは「四輪技術本部における閉鎖的な体質の解消」を掲げた。「各設計開発部門では、技術情報の秘匿のため他部門から業務内容が見えづらくなっていることに加え、他部門との人事交流が少なく、組織が閉鎖的になっていたことが一因」。そこで考えられたのが、技術者の人事交流の促進だ。四輪技術本部の枠を超えて、生産部門、営業部門への異動を実施することで、閉鎖体質を打破しよう目指すが、この人事交流は、不正の温床となった部署だけにとどまらない。鈴木俊宏氏は、こう話した。

「スズキ自身、二輪、四輪、船外機を持っている中で、その資産をどう有効に使っていくかということを考えないといけない。今まではどちらかというと、二輪は二輪、四輪は四輪、船外機は船外機で進んでいた。そこの壁があったが、それをぶち破る。国内営業と海外営業の壁を破るとか。人事、財務などが営業関係で、海外の工場の運営などにも口を出していく。そういうことをやらなければならないといけない」。

社長就任以来37年間、鈴木修会長はトップダウンで同社を率いたが、29日の株主総会でCEO(最高経営責任者)の続投を辞す。スズキは新しいCEO、新たなCOO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)などで集団体制「チームスズキ」の方向性を打ち出した。修氏はこの体制変更について、こう語った。

「売り上げ規模、企業規模からしても、私自身が一人で見ることは不可能になってきたということを数年来考えてきた。結果的にこういう問題がでたことは、その現れだと思って反省している。そういう点で企業規模からしてチームでやっていただくことが、それぞれ責任をもってやっていただくことになるので、チームワークでやっていく方向がいいと踏ん切りをつけた」。

トップダウンでものを言わせぬ。社内の隅々に蔓延した雰囲気は、皮肉にもトップダウンで変えられることになった。チームスズキのこれからの課題も、まさにそれを変えることが課題になる。

《中島みなみ》

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