【トヨタ オーリスハイブリッド 試乗】モータートルクを生かした静かでトルキーな走り…青山尚暉

試乗記 国産車
トヨタ オーリスハイブリッド
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「トヨタが生んだ欧州車」をキャッチフレーズにする『オーリス』にハイブリッドモデル(HV)が加わった。

とはいえ、いきなりのHV追加ではない。オーリスは欧州市場では先代からHVモデルが存在し、現行型でも最初からHVが用意されていたのだ。つまり、オーリスはHVありきの車種、欧州でVWゴルフなどと戦うCセグメントのハッチバックモデルだったということになる。

1.8リットルエンジンのHVシステム=THSIIはそんな経緯から、最新の『プリウス』用ではなく、先代プリウス30型のもの。ただし、ニッケル水素バッテリーは先代プリウスと違い、パッケージ、居住性、ラゲッジ容量に影響しにくい後席下に収め、システムを小型化し出力を抑え、燃費に振ったものが搭載される。

スペックはエンジン99ps、14.5kg-m、モーター82ps、21.1kg-m、システム出力136ps。ガソリン車より約100kgの車重増となるものの、動力性能的には1.8リットルRSと1.2リットルターボの中間ということになる。

しかし燃費性能はさすがにHVで、1.5リットルの18.2km/リットル、1.2リットルターボの19.4km/リットルに対して30.4km/リットルを誇る。

2連コーン型メーターは特に先進的とは感じにくいデザイン。エレクトロシフトマチックは精悍にブラックでデザインされているが、その小ささから大型コンソールにポツリとある感じで、樹脂パネルの質感もプラスチッキーな印象だ。

EV/ECO/PWRが選べるドライブモードをノーマルモードのまま走りだせば、発進はEV。静かにスルスルと発進する。

ドライブフィールは1.2リットルターボのような爽快(そうかい)感、気持ち良さはやや後退するものの、余裕ある1.8リットルエンジン、モータートルクの恩恵で終始トルキー。走りやすさ、静粛性は抜群だ。同じHVシステムを使う先代プリウスに対してCVTの変速、加速がリニアで、エンジンを回してもノイジーじゃなく心地良いサウンドを放つ点も好印象。

乗り心地はオーリスの最上級グレードという位置づけから、重厚でサスペンションの動きのスムーズさが際立つタッチ。荒れた路面や段差ではガソリン車より車重が約100kg重いことから、突き上げがあっても一発でいなし、収束するから快適感は高い。

カーブではなるほど「欧州が生んだ…」を実感しやすい。シートはホールド感に優れ、安定感は穏やかに立ち上がる豊かなモータートルクの恩恵もあって、アクセルをわずかに踏むことで安定方向に落ち着きやすいから安心安全だ。ブレーキにしてもさすが欧州で鍛えられた性能を発揮。HVでもペダルタッチに違和感はなく、制動力も優秀だった。

HVの価格は約262万円~。ということは1.2リットルターボ、105ps、17.8kg-mのVW『ゴルフ』のトレンドライン(266万円、自動ブレーキ、7エアバッグ標準装備。純正ナビ選択不可)に匹敵するわけだが、ちょっと寂しいエレクトロシフトマチック回りのデザインを含む内装の質感、乗り味はもう少しレベルアップしてほしいという印象もある。もっとも、燃費性能で圧倒するのはもちろんである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との快適・安心自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。ムック本「愛犬と乗るクルマ」(交通タイムス社刊)好評発売中。

《青山尚暉》

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