【メルセデスベンツ G550 4×4 スクエアード 試乗】操作はイージー、性能は極めてスパルタン…斎藤聡

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メルセデスベンツ G550 4×4 スクエアード
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メルセデスベンツの『Gクラス』は、最新を求め常に進化するメルセデスベンツ車群の中にあって、ラダーフレーム+前後車軸固定式サスペンションの基本設計を、37年間も守ってきた本格オフロード4×4である。そして『G550 4×4 スクエアード(フォー・バイ・フォー・スクエアード)』は、Gクラス37年の歴史の中で培われた技術を結集して開発されたスペシャルモデルだ。

目を引くのは、そびえ立つように高い車高。そして大きく張り出したカーボンファイバー製オーバーフェンダー。22インチの超大径ホイール。さらに注意して見ると、フェンダーとタイヤの間から除くラリー強化仕様ツインサスペンションまで装備する。

通常モデルである『G550』の最低地上高235mmに対して、スクエアードは460mmを誇り、渡河深度もG550が600mmなのに対してスクエアードは1000mmと段違いの性能を誇っている。これを可能にするために固定車軸式サスペンションにハブリダクションシステムを組み込んだ、ポータルアクスルを採用する(ハブリダクションシステムとは、固定車軸から直接ハブ≒ホイールを駆動せず、ギヤを介して車軸を上方に配置したメカニズム。最低地上高を高くすることができる。)。ちなみに、ポータルアクスル採用によりトレッドも1774mmに拡大。G550と比べ234mmもワイドになっている。

サスペンションは、各輪に並行する2本のスプリング/ダンパーユニットを持ったラリー強化仕様ツインサスペンションを搭載。この2本のダンパーのうち片方は減衰力固定式だが、もう一方は電子制御可変ダンパーを採用。スポーツとコンフォートを選べるほか、限界に近い状況では自動的に硬い設定に変わり走行安定性を発揮する。

搭載するエンジンは、4リットルのV8ツインターボで、421馬力/610Nmを発揮する。

高い車高をよじ登るようにしてコックピットに収まると、室内はスパルタンとラグジュアリーな空間が混然一体となって広がっている。本革を張り巡らした室内はゴージャスで、シフトレバーも7速ATの7Gトロニックのセレクターがあるだけ。スパルタンな匂いを上手に隠しているのだが、セレクター手前にポツンと配置されたトランスファースイッチのボタン操作一つでハイ/ローのギヤ比切り替えが可能だし、センターコンソールに配置された3つのボタンで、センター、リヤ、フロントの3つのデフをロックすることもできる。

操作は極めてイージーだが性能は極めてスパルタン。そのかけ離れたギャップもスクエアードの魅力の一つだ。

実際に走らせてみると、乗り心地はかなりハード。ダンパーの減衰力特性が良いので、突き上げの角はマイルドだが、しなやかな乗り心地とはかけ離れていて、コンフォートにしても想像以上に路面の凹凸を拾う。直進性も、お世辞にも良好とは言えないが、車高を考えれば納得できるレベル。驚いたのは、この車高を持ちながら足回りの動きがビシッとしていて、緩さや曖昧さがまったくといっていいほどないこと。下駄をはかせて車高を上げたのではなく、ポータルアクスルによって車高を上げ、それに見合った補強を施しているためなのだろう。

見切りの悪いボディと、無暗に高い車高に慣れてくると、この視点の高さと、意外なほどしっかりした操縦性が楽しくなってくる。ラリー強化仕様ツインサスペンションはオンロードでもしっかりと踏ん張りが効き、コーナリングでは不思議なくらい腰高感がない。スクエアードの車重は3トン近いのに、重さや鈍さも意識させないのだ。

ダンパーの特性からすると、オフロードやラフロードで性能を全開放したら、さぞや痛快だろう。ただしプライスタグを見なければ…だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

斎藤聡|モータージャーナリスト
特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。

《斎藤聡》

斎藤聡

特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。

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