NTNは3月28日、自動車トランスミッション向けに開発した「低トルクシールリング」を自動車メーカーおよび自動車部品メーカー数社より量産受注したと発表した。
シールリングは、トランスミッションの油圧回路内で相対運動する軸とハウジングの間に1台あたり4~10個組み付けられ、すべり運動をしながら、オイルを密封する役割を果たしている。すべり運動による摩擦が発生するため、近年では、燃費に影響を及ぼす部品のひとつとして低トルク化が課題となっていた。
今回量産受注した「低トルクシールリング」は特殊充填材を配合したPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂製で、外径15~60mm、幅1.5mmの射出成形品。すべり運動する側面にV字状の潤滑溝を形成することで、動圧効果によりオイルが安定して供給され、同社従来品比60%減の低トルク化を実現した。また、シール特性は従来品同等の性能を維持しながら、低トルク化により、シールリングの摩耗量は同1/10以下となった。
今回、自動車の燃費基準がますます厳しくなる中で、低トルク化を実現したことが評価され、量産受注に至った。エネルギー伝達効率を高めるため多段化が進む自動車用トランスミッション内で、シールリングの使用数も増加傾向にあり、低トルク化を実現した同開発品の需要拡大が今後も見込まれる。