【ボルボ S60 T6 試乗】スーパーチャージャーがもたらす力強い走り、燃費にも納得…井元康一郎

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ボルボ S60 T6
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今年2月、スウェーデンの自動車メーカー、ボルボのDセグメント『60』シリーズに最高出力152psの1.5リットル直噴ガソリンターボ、306psの2リットル直噴ガソリンツインジャーの2つのダウンサイジングエンジンが追加ラインナップされた。その2種のエンジンを積んだセダンモデル『S60』を短時間テストドライブする機会があったのでリポートする。

S60の最上級グレード「T6 AWD R-Design」はAWD(四輪駆動)のハイパワーサルーン。ボルボはエンジンの種別をガソリン=T、ディーゼル=Dで、出力レンジを数字で表している。たとえばD2=120psディーゼル、T2=122psガソリン、D4=190psディーゼル、T4=190psガソリンといった具合だ。T6は出力300ps強のガソリンで、V8置き換えのためのプラグインハイブリッドT8を除き、現時点でボルボのトップパフォーマンスエンジンである。

大型SUV『XC90』に続いて採用された新T6エンジンは、旧来のT6であった3リットル直列6気筒ターボに置き換わるもの。2リットル直列4気筒に機械式過給器とターボ過給器の2つでブーストをかけるツインチャージャー方式。最高出力は306psと、XC90の320psより4.5%低められたかわりに、最大トルク400Nm(40.8kgm)の発生回転数が低回転寄りとなるなど、車両重量に合わせて結構細かくチューニングされているようだ。

実際に走らせてみたところ、T6エンジンのパフォーマンスの絶対値はプレミアムDセグメントの高出力モデルとして十分なものに感じられた。高速道路への流入路でフル加速を試してみたが、50km/hから100km/hには2秒ほどで到達した。300p級としては妥当な運動性能と言えよう。低回転からスーパーチャージャーが威勢よく過給するので、市街地においても豊かなパワー感を味わうことができた。ただし、パワーフィールは6発エンジンのように緻密で伸びやかなものとは異なり、少しのっぺりとしている。そのあたりの官能チューンはもう一工夫欲しいところだ。

平均燃費計と瞬間燃費計の相関で推測するに、燃費は6気筒のフィールが失われた代償として十分納得のいく良さだった。306ps、車重1.7トンのAWDモデルであることを考慮すると結構よかった。高速道路でのクルーズ燃費は、メチャクチャな飛ばし方をしないかぎり14km/リットルくらいは普通に出せそうだった。市街地でもアイドリングストップが有効に作用することもあって、燃費の悪化は最小限ですんだ。

T6の試乗時間帯は夕刻で、成田の三里塚付近は帰宅ラッシュの渋滞がほうぼうで発生していたが、そのような環境下でも急発進、急停止を繰り返すようなラフな運転をしなければ10km/リットルのラインは割らずにすみそうだった。高速7割、市街地3割の試乗トータルでの平均燃費計の数値は12.9km/リットル。

エンジンサウンドは4気筒のゴロゴロした音にスーパーチャージャーが発するウィーンという唸り音が混じったもの。スーパーチャージャーの音がよく聞こえるクルマといえば、マツダが90年代に売っていた『ユーノス800』のミラーサイクルエンジンが懐かしく思い出されるが、そちらがキュイーンという高周波の音がメインだったのに対し、T6エンジンのほうは周波数がかなり低いものだった。

この音をハイテクの証と受け取るか、エンジンサウンドを濁らせる要因になると受け取るかで評価が分かれそうに思われた。ちなみに当日試乗車が用意されていながら自分が選ばなかったクロスオーバーSUV『XC60』のT6エンジンはスーパーチャージャーの音はほとんど聞こえないそうで、音の有無で印象かどう変わるかも試してみたい。

T6エンジンはRデザインと呼ばれるスポーツパッケージのみとの組み合わせ。今回は市街地と高速しか走っていないが、昨年夏に190psディーゼルのD4 Rデザインで東京~鹿児島を往復してみた経験に照らし合わせると、日本の山岳路への適合性は非常に高いことが予想される。また、Rデザインのシートはロングツーリング耐性が抜群なのも良い点だ。ネガティブなのはハーシュネスが強めの乗り心地だが、“角型ボルボ”の時代とは似ても似つかない素晴らしいハンドリングを持ち合わせていることや、AWDのスポーツセダンという性格を考えれば許容範囲だろう。

価格は245psのT5 デザインの554万円に対して60万円高の614万円。差分は高出力エンジン、AWDシステム、前・後・縦列駐車の3モードに対応するオートパーキング、自動防眩ドアミラーなど。ライバルとなりそうなモデルは多そうで少ない。メルセデス・ベンツ、BMW、アウディのドイツ御三家の高性能モデルはボルボよりはるかに高価。あえて価格帯を合わせると、BMW「330i M Sport」(622万円)やアウディ「A4 2.0 TFSI quattro sport」(624万円)など、252ps級が主体。価格、パフォーマンスをトータルで見ると、むしろRWD(後輪駆動)のレクサス『IS350 F Sport』(619万円)、AWDの日産『スカイラインGT FOUR HYBRID Type SP Cool EXCLUSIVE』(605.6万円)などの国産プレミアム勢が四つに組むライバルとなろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
《井元康一郎》

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