【ボルボ S60 T3 試乗】小排気量エンジンのハンデを感じる機会は少ないが、価格は…井元康一郎 | レスポンス(Response.jp)

【ボルボ S60 T3 試乗】小排気量エンジンのハンデを感じる機会は少ないが、価格は…井元康一郎

試乗記 輸入車

ボルボ S60 T3
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今年2月、スウェーデンの自動車メーカー、ボルボのDセグメント「60シリーズ」に最高出力152psの1.5リットル直噴ガソリンターボ、306psの2リットル直噴ガソリンツインジャーの2つのダウンサイジングエンジンが追加ラインナップされた。その2種のエンジンを積んだセダンモデル『S60』を短時間テストドライブする機会があったのでファーストインプレッションをお届けする。

最初に乗ったのは1.5リットルの「T3」。ボルボはフォードグループを離脱して以降、内燃機関は直列4気筒2リットルを上限として、ガソリンターボとディーゼルターボの基本設計を共有させることで、生産台数50万台クラスの少量生産メーカーが負うコスト面でのハンデの克服を図っている。この1.5リットルは2リットルのストロークを24%縮小するという手法で作られ、アーキテクチャはやはり共通なのだそうだ。

エンジンをスタートさせ、走り始める。排気量1.5リットルとはいえ、ターボ過給されているので、タウンスピードでは力感不足はまったく感じられない。1700rpmから4000rpmの広い範囲で250Nmという2.5リットル並みのトルクを発生するという特性を持っているため、高速道路への流入時など加速力が必要な局面でも困るようなことはない。ただし、1.6トン弱という重量級ボディに最高出力152psのエンジンという組み合わせであるため、スロットル全開時の加速力は大したものではない。

高速道路におけるハイスピードクルーズはS60が最も得意とするシーンのひとつ。ホイールが“超”がつくほど精密に回っているように感じさせる素晴らしい味付けで、いかにも高速車に乗っているという気分にさせられる。日本の高速道路の速度レンジにおいては追い越し加速を含めてエンジンパワーの絶対値の大小による差はほとんど出ないため、小排気量エンジンのハンディを感じる機会は少なかろう。

また、市街地ではプレミアムセグメントのモデルとしては特段静粛性が高いとは思わなかったのだが、高速道路で速度を上げた時のノイズの増加は非常に少なく、フラットな走行感とあいまってその領域では実に気持ち良いクルーズを楽しむことができた。

燃費性能はJC08モード走行時で16.5km/リットルと、ライバルが急速に進化しているなかでは凡庸な数値だが、1時間という短い運転時間の中でそれなりにいろいろな走り方をしてみたところ、高負荷時においても燃料消費率の落ち込みが少ないような印象があった。平均燃費計、瞬間燃費計の挙動から推測するに、長距離では15km/リットル前後、市街地では12km/リットル台くらいか。

ネガティブな点は変速機が6速どまりであることとプライスタグ。エンジンは必要な仕事をしてくれればいいのだという考え方に立つのであれば、実燃費がそれほど悪くなければ変速段数にそれほどこだわる必要はないし、変速制御も変にトルクコンバーターを滑らせるのではなく、ダイレクト感のあるフィールを実現させてはいる。が、先進技術山盛りが当然というプレミアムセグメントらしさを味わうという観点では、6速は少々寂しい。

次に価格。燃費性能が上がり、エコカー減税の減税率も1ステップ上がったとはいえ、T3が昨年、少しの間だけ販売された190psの2リットル直噴ターボ「T4」と価格帯が同じというのは顧客にとっては損をした気分になる可能性がある。カーナビ、インテリジェント配光ヘッドランプ、歩行者・自転車検知機能付き追突軽減ブレーキなどの先進安全システムが標準装備で434万円という価格はプレミアムDセグメントのライバルと比べるとかなり安いのは確かだ。が、25万円高で抜群の動力性能を持つ190ps+8速ATの2リットルターボディーゼル「D4」を買えることを考えると、価格をもう少し引き下げ、できれば400万円少々というレベルに持っていきたいところ。プレミアムセグメントは安売りしさえすればいいというものではないが、欧州でもT3はT4よりずっと安いのだから、そこは誠実に行くべきではないか。

これら気になる点もあるものの、走行感の良さやシート設計の心地よさなど、プレミアムDセグメントのベースラインとしては、S60 T3はなかなかいい線を行っている。日本ではドイツ御三家をはじめ、プレミアムDセグメントはある程度強力なエンジンを搭載しているものしか売られていないが、本拠地の欧州では1.4~1.6リットルクラスの低出力ダウンサイジングターボをDセグメントにも積むのが流行っており、顧客にも支持されている。そのトレンドをライバルに先駆けて日本に持ち込んだという点でも、興味深いモデルと言えるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
《井元康一郎》

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