降雪地以外でも積極的に選べる…マツダ デミオ、AWDモデルに乗ってみた

試乗記 国産車
マツダ デミオ AWD
  • マツダ デミオ AWD
  • マツダ デミオ AWD
  • デミオAWD。このクラスでディーゼル、四輪駆動の組み合わせ自体が希有な存在だ。
  • デミオAWD。外観上のFFモデルとの識別点の一つは、マフラーのセンターパイプとサイレンサーが一段低くなっている点。
  • デミオAWD。そしてこのAWDのバッジのみが四輪駆動であることを主張する。

首都圏、特に南関東で生活していると、冬とはいえさほど降雪で生活に支障を来すことはまれである。昨今念に数回かなり大雪になることもあるが、その中でクルマが無くて生活に支障を来すということは、私見の域を出ないが、ほぼ無いと言ってよいだろう。

だから普通の乗用車で「4WD」のバッジのついているクルマを見るとつい目で追いかけてしまう。ご実家が雪国で帰省する際に必要なのか? ウィンター スポーツが好きなのか? 希少な在庫車にたまたまご縁があったとか。など、大きなお世話だとは思いつつ、いろいろと想像してしまうものである。特に何か事情が無ければ選ぶべきではない、ということも無いのだが、一般的にはより複雑な仕組み、より重たい装備クルマに乗ることになる4WDのチョイス。その動機は気になってしまうのだ。

そんなさなか、このほど、デビューから一年を少し過ぎたあたりで早々の商品改良が入ったマツダ『デミオ』。その試乗会の場で、「AWD」仕様に試乗させていただく機会があったのだが、これの印象がなかなか好ましかった。

30分ほど、ドライの路面ではあるが、市街地、高速道路を織り交ぜて試乗する機会に恵まれた。結論としては、もし、降雪や雨など「路面コンディション」を 無視したとしても、このクルマを選択する人の気持ちがわかる、そんな四輪駆動だったのである。

絶対的には軽やかな身のこなしながら、カーブが多く合流分岐、さらにはアップダウンの多い首都高速などで、その加減速時、そして高速旋回時の質感には、正直クラスを越えた質感を感じてしまったのだ。全長4m程度のサイズ感、それほど重量的にも重くはないファミリーカーで、こういう走りのクルマはなかなか無いのではないだろうか。

「後輪には常にほんの少し、トラクションがかかり続けていて、もし不測の事態に突入した時には、そこからさらに4輪に適切なトルク配分に移行します」と、戻るなり広報担当者が教えてくれた。これ自体はなんら新奇な仕組みではないものの「ドライバーをサポートする」その何の変哲も無い四輪駆動のセオリーが他の何かの足かせになっ ていない印象を受けたのだ。これがもたらす走りは「積極的に選ぶのもアリだ」と思わせるに十分なものだと感じた。肝はセオリーの問題ではなく、そのセオリーのアウトプットの「させ方」の問題だと感じた。

試乗したモデルはディーゼルエンジンのAWD。全長4m強、車重1.2t、トルクコンバーター式6速オートマチック。ディーゼルエンジンのこういう組み合わせのクルマは日本ではなかなかない。マニュアルトランスミッションの設定が現状ないデミオのAWD。オートマチック車で比較的コンパクトなクルマながら、長距離もこなし、ハンドリングもいいクルマを、というご希望なら、是非お忘れなく。コンパクトなクルマらしい身軽さはもちろんのこと、高速旋回などでは走りのダイナミックさでも光るものが感じられる。まさに代わりのなかなか見つからない1台。遠くまで走りたくなる。そんな雰囲気にあふれた1台だった。

《中込健太郎》

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