【ポルシェ 911ターボS 海外試乗】終わりなき進化に、早くも「次」を期待させられる…山崎元裕

試乗記 輸入車

ポルシェ 911ターボS
  • ポルシェ 911ターボS
  • 山崎元裕氏
  • ポルシェ 911ターボS
  • ポルシェ 911ターボS
  • ポルシェ 911ターボS
  • ポルシェ 911ターボS
  • ポルシェ 911ターボS
  • ポルシェ 911ターボS
ポルシェは昨年来、現行の991型『911』にビッグマイナーチェンジを実施。「カレラ シリーズ」、「カレラ4シリーズ」に続いて、今年のデトロイトショーでは、ターボ・シリーズもニューモデルへと進化させてきた。新型にも、これまでと同様にスタンダードモデルのターボと、高性能版のターボSがラインナップされ、その各々にクーペとカブリオレの両ボディーが用意されている。今回試乗したのはターボSのクーペ。これはターボ・シリーズの中では最もスパルタンな仕様ともいえる。

911ターボのアピアランスには、やはり独特な凄みがある。ワイド化されたフェンダーは、その象徴的なディテールだが、もちろんそれには機能という確実な裏付けがある。フロントのバンパースポイラーやスプリッター、さらにはドアハンドルやテールランプなどもデザインが改められ、したがってマイナーチェンジとはいえ新型911ターボの外観は、ニューモデルとしての新鮮さに満ち溢れている。

新型911ターボに搭載されるエンジンは、これまでと同様に3.8リットル仕様の水平対向6気筒ツインターボだが、インレットポートのデザインを変更したほか、高燃圧に対応した新たなインジェクターを採用。さらに可変ジオメトリー式のターボも、そのタービン径や過給圧設定を変更し、ターボでは540ps、ターボSでは580psの最高出力を実現した。ちなみにこの数字は従来型比でいずれも20psの強化。ミッションは7速PDKのみ、また駆動方式に電子制御多板クラッチを使用したフルタイム4WDを採用しているのも大きな特徴だ。

580psユニットを搭載するターボSの走りは、衝撃的なものだった。こちらも新デザインとなったステアリングホイール上には、「ノーマル」、「スポーツ」、「スポーツプラス」、そして「インディビジュアル」の各走行モードを選択できるロータリースイッチが備わっているが、サーキット走行ではもちろんスポーツプラスが最も刺激的で、そして面白い。まず驚かされるのは7速PDKの素晴らしい制御で、アクセルペダルを踏み込めば、まさに怒涛の如くパワーが生み出されるから、まさにシームレス感覚の加速が楽しめる。いや正確には、それが楽しめるのは3速や4速にシフトされてからの話。1速や2速ではまさに一瞬でレブカウンターの針はレブリミットに達する。ここに重量感なるものは一切感じない。

新型エンジンに採用されたメカニズムで、もうひとつ紹介しておかなければならないのは、ダイナミックブースト機能だ。これはアクセルペダルをわずかに戻したようなシチュエーションでは、スロットルバルブをオープンにしたままでフューエルカットを行い、それによって過給圧を維持するもの。そもそものパワーが大きいがゆえに、その効果をダイレクトに感じるのは正直なところ難しかったが、ターボラグはほとんどそれを感じることはなかったし、またアクセルレスポンスもシャープな印象に終始したのは確かだった。

ターボSの走りで常に感じるのは、圧倒的なトラクション性能と、スタビリティだ。これだけのハイパワーモデルとなると、やはり最適な駆動力配分を実現してくれる4WDシステムの存在は、まず大きなアドバンテージになる。さらにPASM=ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネージメントや、PDCC=ポルシェ・ダイナミックシャシー・コントロール、そしてもちろんその性能には絶対的な信頼感を抱くことができる、PCCB=ポルシェ・セラミックコンポジット・ブレーキといった最新のデバイスや装備が、車体を常に安定方向へと導いてくれることで、ドライバーは緊張感から解放されることになる。これだけの速さの中で、ここまでにリラックスしてドライブを続けることができるスーパースポーツは、そうは多くはないと断言できる。その優秀なエアロダイナミクスも、このような結論に至った、大きな理由のひとつだ。

走行モードを選択するロータリースイッチのセンターには、さらにスポーツレスポンススイッチがレイアウトされている。これは追い越し時などに20秒間のみ、エンジンやミッションのマネージメントによって最高効率での加速を実現してくれるものだが、気がつけばそれを一度もプッシュすることなく、今回のテストドライブを終えていた。

ポルシェ911の進化は、まさに終わるところがない。ポルシェはすでに、次世代911の開発を進めているだろう。はたしてそれは、我々に今度はどのような驚きを与えてくれるというのか。それさえが、早くも楽しみになってきた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

山崎元裕|モーター・ジャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
1963年新潟市生まれ、青山学院大学理工学部機械工学科卒業。少年期 にスーパーカーブームの洗礼を受け、大学で機械工学を学ぶことを決意。自動車雑誌編 集部を経て、モーター・ジャーナリストとして独立する。現在でも、最も熱くなれるのは、スーパーカー&プレミアムカーの世界。それらのニューモデルが誕生 するモーターショーという場所は、必ず自分自身で取材したいという徹底したポリシーを持つ。
《山崎 元裕》

編集部おすすめのニュース

特集

おすすめの商品

試乗記 アクセスランキング

  1. 【マツダ アクセラ 試乗】とんでもなくいいものでごめんなさい…岩貞るみこ

    【マツダ アクセラ 試乗】とんでもなくいいものでごめんなさい…岩貞るみこ

  2. 【アストンマーティン DB11 試乗】“GT”究極の高みへ…山崎元裕

    【アストンマーティン DB11 試乗】“GT”究極の高みへ…山崎元裕

  3. 【VW ザ・ビートル デューン 試乗】デューンバギーの面影はないけれど…中村孝仁

    【VW ザ・ビートル デューン 試乗】デューンバギーの面影はないけれど…中村孝仁

  4. 【トヨタ プリウスPHV 試乗】ハイブリッドにEVの魅力を積極的に取り入れた…斎藤聡

  5. 【トヨタ プリウスPHV 試乗】「普段はEV、長距離レジャーはHV」具現化したミライ型プリウス…諸星陽一

  6. 【メルセデスベンツ Eクラス 試乗】非の打ち所がないとは、こういうことか…岩貞るみこ

  7. 【MINI クーパーD 試乗】待望の5ドアディーゼルミニ、気に入っちゃいました…中村孝仁

  8. 【ルノー カングー 800km試乗】1.2L+6MT、欠点さえも魅力と思わせる「これぞフランス車」…井元康一郎

  9. 【トヨタ プレミオ / アリオン 試乗】フルモデルチェンジならばもっと良かった…松下宏

  10. 【トヨタ ランドクルーザー70 試乗】面白がって買うとイタイ目を見る、マニアックな一台…松下宏

アクセスランキングをもっと見る

人気ニュースランキングや特集をお届け…メルマガ会員はこちら