2月22日に発売したホンダのニューモデル『CRF1000L アフリカツイン』。そのメディア向け試乗会、技術説明会で、本田技術研究所二輪R&Dセンターの山倉裕氏は、自らが担当した車体設計について言及した。
まず車体サイズ。「前モデルのXRV750 アフリカツインと同等です。フロントタイヤのアクスルシャフトと、フレームピボットの間隔は旧アフリカツインに比べて8mm短くなっていますから、オフロードを走行中、フロントタイヤがより近く感じ、操作しやすいと思います」
「フレームはオフロードで適度な“しなやかさ”をライダーに感じさせるために、前作のアフリカツインやCRF450ラリー(ダカールラリー参戦モデル)にも採用したセミダブルクレードル構造です」
「その一方で、タフなオフロード走行、高速道路を使ったタンデム、荷物積載時でも必要な剛性を確保しています。6か所のエンジンハンガー、異型楕円形状のメインパイプ材を採用などによって、あらゆる走行状況に対応可能な最適な剛性バランスを実現しました」
また、アルミ製ハンドルはグリップ両端部の外径を22.2mmとし、握りやすいサイズ。中央のクランプ部に向けて太くなるテーパーパイプを採用したことでクロスパイプを排除し、強度と軽量化に貢献しただけでなくシンプルなコックピットになった。同排気量の『XL1000V Varadero』のスチール製パイプハンドルと比べ、約50%の軽量化だ。
そしてライディングポジションは、長距離走行も快適なゆったりとしたものとし、高いアイポイントを獲得。ヒップポイント付近を広くしたシート座面で、乗り心地の良さを高めた。
スタンディング時も、ライダーが全身を使うマシンコントロールの妨げにならない自由度の高いライディングポジションと燃料タンク形状にこだわっている。
山倉氏が中学生の頃、興奮してテレビにかじりついて見たパリダカ。ビッグオフロードが好きになり、大学生の頃にはアフリカツインのオーナーに。ホンダに入社し、数年後にはアフリカツインは生産を終了してしまったが、「新しいアフリカツインを作りたい」という思いは持ち続けたという。
そして、ついに夢が叶った。伝統とコンセプトを踏襲するだけでなく、次世代を見据えて同氏が車体を設計した新しいアフリカツインだ。