天の川銀河の中で2番目に大きなブラックホール…慶応大などの研究チームが発見

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中質量ブラックホールによる重力散乱で雲が加速される様子(イメージ図)
  • 中質量ブラックホールによる重力散乱で雲が加速される様子(イメージ図)
  • (a) 天の川銀河中心方向の一酸化炭素(CO)115ギガヘルツ/346ギガヘルツ回転スペクトル線強度の合成図。(b)今回観測対象とした分子雲CO-0.40-0.22周囲のシアン化水素(HCN)355ギガヘルツ回転スペクトル線の積分強度分布(c) 銀経-速度分布

慶應義塾大学理工学部物理学科の岡朋治教授らの研究チームは、天の川銀河の中心領域にある特異分子雲中に太陽の10万倍の質量を持つブラックホールが潜んでいる痕跡を発見した。

多くの銀河の中心に巨大ブラックホールがあることは最近の研究によって分かってきていたが、その形成・成長のメカニズムは解明されていない。

今回、岡教授らの研究チームは、天の川銀河の中心核巨大ブラックホール「いて座A*(エー・スター)」から約200光年離れた位置に発見された特異分子雲CO-0.40-0.22の詳細な電波を観測し、詳細な空間構造と運動を明らかにした。

これらの結果から、この特異分子雲の中心には、太陽の10万倍の質量を持つコンパクトな重力源があることが判明した。この重力源の位置に対応する天体は見られず、ブラックホールである可能性が高い。

これは天の川銀河では、中心核巨大ブラックホール「いて座A*」に次いで2番目に大きなブラックホール。これらは、太陽の数百倍~10万倍程度の「中質量ブラックホール」が合体を繰り返すことで中心核巨大ブラックホールが形成され、さらに成長していくというシナリオを支持する。

今回の研究成果は、米国の天体物理学専門誌「The Astrophysical Journal Letters」に掲載された。

《レスポンス編集部》

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