スーパーカービジネスに迫る…代官山蔦屋書店でトークショー

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スーパーカーと言えば、少年時代に虜になったという人、後の人生に少なからず影響を及ぼしたという人も少なくないのではないだろうか。

しかし、クルマに興味のない人にとっては、場合によっては無用の長物。とらえどころのないもの、疎ましく冷ややかに見る対象、ということも、あるいはあるのかもしれない。しかし、それでも動かし難い事実として、その存在感には見る者が皆圧倒されるのではないだろうか。

1月14日、代官山蔦屋書店で、昨年末にKADOKAWAより出版された「フェラーリ、ランボルギーニ、マセラティ伝統を生み出すブランディング」の著者、越湖信一氏によるトークショーが催され、多くの読者や自動車エンスージアストが会場に駆けつけた。

スーパーカーとは何か これを簡単に定義づけることは難しい。しかし、イタリアのスーパーカーの故郷モデナの町の風土、そこに暮らす人の気質、熱意の結晶であって、それらなしにはスーパーカーは興り得なかったのではないかと越湖氏は語った。

もともと一面ぶどう畑。長閑な田園風景が広がる田舎町だった。そこで、「一番のクルマ」を作るマセラティが興り、次第にフェラーリ、ランボルギーニと競い合うメーカーが次々に現れた。そこには、高価である、高性能である、ということの競走では必ずしもなく、ただ単に「最高のモノ」を作るということを突き詰めた結果、多くの人を鼓舞するような存在になった、ということなのではないか。歴史的に貴重な写真や、実際に現地を歩いて、マエストロ達に直接取材した経験に基づく越湖氏の話の重みもまさに本物だ。

さらに後半では漫画家の梅澤春人さんも登場。自身の作品の『カウンタック』が生まれた経緯、漫画家としてのディテールへのこだわりなど、興味深いトークが次々に飛び出した。そして、「スーパーカーの楽しみは眺めること。運転すると、秀逸なフォルムを眺めることができないから」という持論まで披露。会場内に集うクルマ好きを釘付けにした。

20世紀終盤までは、せいぜい年産数百台から2000台程度の生産規模というのが題にも含まれる、モデナのスーパーカーの実態だった。そういうメーカーが、順調ではないにせよ、生き残って発展し続けているのは「企業の規模の成長の度合い」が鍵を握っているという。急成長は時にひずみを産み、かといって攻めることをあきらめたところで、「伝統」は「過去」へと陳腐化するのだ。

同書が自動車書籍のコーナーに並ぶ書店と、ビジネス書籍のコーナーに並ぶ書店があると言う点でも、視線ばかりでなく、こころまでも奪うような魅力を持つ、スーパーカーメーカーにブランディングビジネスの大切なヒントが隠されていると言っても過言ではないのだ。

決してひけらかすのではなく、こころの拠り所になるクルマ。スーパーカーのそんな本質に触れた時、「そのクルマは乗る者を鼓舞するか」というクルマ選びにおける不文の基準を改めて突きつけられたようだった。
《中込健太郎》

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