トルコのイスタンブールで建設が進む新空港の管制塔について、建築コンペの結果が12月24日に発表された。6社がエントリーしていたなかで、ウィナーになったのはアメリカの本拠とする国際エンジニアリング会社のAECOMとイタリアのピニンファリーナによる共同提案だ。
新国立競技場のデザインで物議を醸したザハ・ハディド氏もこのコンペに参加していたが、それをピニンファリーナ案が凌駕した。
ピニンファリーナが担当した管制塔の建築デザインは、歴史的にイスタンブールを象徴する花であるチューリップをモチーフとしつつ、ピニンファリーナがカーデザインで培ってきたダイナミックさとロマンチックさを融合したもの。それが新空港の建設主体であるIGA(トルコの5大ゼネコンによるコンソーシアム)に高く評価された。
AECOMで空港建設を手掛けるベルナルド・ゴーニャ上級副社長は、「今回のコンペに向けて、当社の空港建設の技術力と、違う世界のデザイン能力を融合するアプローチを採用した」と語り、こう続けた。「我々のゴールは、伝統と職人気質に基づくピニンファリーナの価値を空港に持ち込むことだった。純粋な美しさと本物の革新を融合した結果が生まれた」。
ピニンファリーナのパオロ・ピニンファリーナ会長によれば、「いつもと同じように、クライアントのデザイン・アイデンティティを尊重しながら、同時に新たな美的価値をそこに持ち込むこと」が今回の管制塔のデザインの狙い。「85年にわたるデザイン経験と世界各地で得てきた建築のノウハウを融合し、特徴的なキャラクターを持ちながら技術的にも先進的なデザインを創造できた」としている。
インドのマヒンドラ・グループに買収されることになったピニンファリーナだが、デザイン活動はクルマに限らず今後も変わらず続いていくのだろう。あのザハに勝ったという今回の実績は、同社の将来に明るい展望をもたらしそうだ。