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先進的な取り組みが次々と登場、IoTがもたらす未来とは?

自動車 テクノロジー ITS

 東京ビッグサイトで開催された「SEMICON Japan 2015」にて、シスコシステムズの鈴木和洋執行役員は、「IoTがもたらす次世代のデジタル社会とスマートシティ」というタイトルで講演を行った。同社は、スマートシティ領域のリーディングカンパニーである。

 スマートシティというと幅広い意味合いがあるが、同社のいうスマートシティとは、エネルギーや人々の暮らしを効率化することや、人々の暮らしを豊かにすることを目的とした取り組みのことを指している。講演では、同社の手掛けた、IoTを活用した海外のスマートシティの事例が紹介された。

■街中の至るところでIoTを活用し、暮らしやすい街づくりを実現
 まず事例として挙げられたのは、バルセロナ。バルセロナでは、10年以上IoTに取り組んでいるそうだ。具体的な取り組みとして、3つ挙げられた。まず1つ目は、スマートライティングと呼ばれる取り組み。これは、街灯の明るさを交通量の多さに応じて調整するというものだ。エネルギーの効率化に繋がる取り組みである。

 2つ目は、駐車場での取り組み。これは、駐車場の空きスペースをセンサーで感知し、空き状況をドライバーのスマートフォンに送信するというものである。空きスペースを探すために、駐車場内を無駄にグルグルと回ることがなくなる。環境にとってもドライバーにとっても優しい取り組みといえるだろう。

 そして3つ目は、ゴミ収集車の取り組み。ゴミ箱内の温度と重量を検知することにより、ゴミ箱の満杯・空き状況が分かり、Wi-Fiネットワークを通じてドライバーに送信される。これにより、ゴミ収集車が無駄に回ることはなくなる。作業時間やエネルギーの効率化に繋がるだけではなく、交通渋滞の緩和にも繋がる。

 バルセロナではこのようなスマートシティ化の取り組みをいくつも行い、過ごしやすい街づくりを実現。結果、多くの起業家の誘致に成功したという。企業数の増加に伴って雇用数も拡大し、税収の増加に繋がったとのことだ。

■犯罪者データを分析し、犯罪を未然に予防
 一口にスマートシティといっても、その内容は多岐に渡る。他の街ではあまり見られない取り組みをしているのがシカゴだ。シカゴというと、犯罪の多いというイメージがないだろうか。このような状況を改善するため、シカゴでは犯罪者のデータ(いつ、どこで、どんな犯罪が起きているのか)を市民に公表し、注意喚起を促している。それに加え、大学にデータを分析させることにより、その分析結果を用いて犯罪予防に活用しているとのことだ。

 この結果、街の安全性が向上し、人口が減少から増加に転じたそうだ。住みやすい街をつくるという意味では、シカゴもスマートシティ化の一事例といえる。

■IoTを活用して、顧客の待ち時間を減少
 スマートシティというと街づくりを想起するかもしれないが、各企業においてもスマートシティの取り組みを行うことが重要だ。その中でも、インフラを扱う企業がスマートシティに取り組むことは、特に重要である。そのような背景の中、鈴木氏が紹介したのはコペンハーゲン空港だ。

 コペンハーゲン空港では、IoT技術を用い、チェックインした人の位置情報を取得している。これにより、混雑している場所にスタッフを多く配置するなどの工夫をしているとのことだ。顧客の待ち時間を減少させ、顧客満足度の向上に繋げている。

 また、まだ実験段階ではあるものの、荷物の預かりには電子タグを採用している。これにより顧客は、バゲッジクレーンで自分の荷物が出てくる時間が分かり、それまでの待ち時間を有効に活用することができる。

 以上のコペンハーゲン空港での取り組みは、人々の暮らしを効率化しており、スマートシティ化の成功事例といえるだろう。

■IoTを活用して顧客満足度を向上、リピート化に
 スマートシティと関連し、IoTを用いた取り組みがスポーツ分野において活性化しているという。鈴木氏が紹介したのは、アメリカ・ネブラスカ州のスポーツ施設「メモリアルスタジアム」。同施設では、9万人の席が毎回満席になっているとのこと。その理由として、リピーターを生み出すサイクルが紹介された。

1.アプリを使って、自宅でチケットを購入
2.会場に着く際には、空いているパーキングをスマホで検索
3.会場に入ると、場内サイネージやスマホを通じて、お得な情報が発行される。
4.空き状況をスマホで確認でき、スマホが席へナビ案内
5.試合開始までの待ち時間は、ファン参加型のクイズやゲームを楽しむ
6.試合中は、選手・試合データを分析して楽しむ
7.マルチアングルビデオやリプレイ映像を楽しみながら、試合を観戦する
8.観客席から飲食物を注文・決済、待たずに受け取る
9.帰りの混雑・渋滞状況を確認。混雑している場合は、クーポンを使って場内の飲食店へ

 以上のサイクルで顧客満足度を上げ、リピーターを増やしている。鈴木氏によると、「また行きたくなる体験を来場者に経験させることが重要」とのこと。上記は、スタジアムの話であったが、同じような内容を中小企業でも活用できるのではないだろうか。例えば、イベントを行ったり、展示会に出展したりする際に活用できそうだ。その際には、箱を先に考えるのではなく、どのようにマネタイズするかを先に考えることが重要になるであろう。

 また、上記に関連したスマホアプリや設備機器を開発することにより、新たなビジネスチャンスを見出すこともできそうだ。「IoTを用いて人々の暮らしを向上させることは、一社単独では実現が難しい。複数の企業が協力して行わないといけない」と鈴木氏。自社単独ではなく、他の企業と協力して何ができるかを考えてみてはいかがだろうか。
《まつかず・HANJO HANJO》

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