『モンスター796』から受け継いだ803ccの空冷Lツインは、スロットルレスポンスが鋭く、アクセルを開けるのが楽しい。ガバッと開けてやれば、フロントがポンと浮くほど力強いのだ。低中回転域からトルクがモリモリで、街中でのストップ&ゴーの繰り返し、ただそれだけで面白い。車体が軽いし、ライディングポジションもアップライトだから、気軽に乗れるのがいい。高めのギヤを使って、Lツインならではの鼓動感を楽しみつつノンビリ走っても楽しいし、高回転まで引っ張り上げてガンガン走っても音を上げない。ワイドレンジで神経質さがなく、ビッグバイクビギナーにも馴染みやすいだろう。車名は『スクランブラー』だし、ブロックパターンの太いタイヤを履くことから、乗り心地はオフ車に近いかと想像したが、車体の動きはバランスの良いネイキッドスポーツ。コーナリングでは素直に車体が寝ていくし、タイヤからのノイズも気にならないレベル。ハンドリングにクセがなく、ワインディングでも軽快にスイスイ走る。狭い路地やフラットダートに入っても苦にならない。ハンドル切れ角がしっかりあって、エンジンも低い回転で粘るからコントロールしやすい。前後サスの路面追従性も良く、絶えずしっかりとしたトラクションを感じていられる。つまりツーリングや街中で、この先どうなっているんだろうっていう脇道に臆せず入っていける。これは良き相棒になりそうだ。■5つ星評価パワーソース:★★★★★フットワーク:★★★★★コンフォート:★★★足着き:★★★★オススメ度:★★★★★青木タカオ|モーターサイクルジャーナリストバイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説している。現在多くのバイク専門誌、一般誌、WEB媒体で活動中。
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