【テスラ モデルS P85D 試乗】狂気のタイムマシン的加速力に“未来”が見えた…青山尚暉

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テスラ モデルS P85D
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ロバート・ゼメキス監督の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』はボクが大好きな映画だ。劇中に登場したタイムマシン、デロリアン『DMC-12改』を、アメリカのユニバーサルスタジオまで見に行き、写真を撮りまくった経験もある。

ストーリーは1985年10月から30年後の2015年10月にデロリアンでタイムスリップ。すでにクルマは空を飛び、当時、果たしてそんな未来が本当にくるのか? と友人と議論したものだ。

そんな2015年10月、クルマは空を飛んでいないけれど、当時からすればまさに“未来”の電気自動車、ソフトウエアアップデートにより自動運転も可能になるEVスーパーカー試乗することができた。そう、デロリアンと同じ、アメリカ製のテスラ最強のEVスポーツサルーン、『モデルS P85D』である。

試乗した深紅のP85DはAWD、デュアルモーターでわずか3秒ちょっとで100km/hに達するというのだから、その速さは乗る前から想像できる(モーター出力はリヤ375kW、フロント193kW)。

しかも、実航続距離は東京~軽井沢、東京~御殿場間を余裕でこなす実力の持ち主(公称491km~)。大容量バッテリー搭載で車重は2tを越すが、走りだした瞬間からバッテリー残量を気にしなければならないEVとは一線を画すEVというわけだ。

ボディサイズはなるほどアメリカンだ。全長4970×全幅1950mmと、日本の標準的な駐車スペース、狭い道では気を使いがちだが、そのぶん、室内は広大。前席はもちろん、後席も身長172cmのボクのドライビングポジション背後で頭上に10cm、ひざ回りに16cmもの余裕がある。運転席、助手席の間の巨大トレーも実用的だ。

前後に巨大なトランクスペースがあるのも特徴で、さらにリヤラゲッジには2人掛けのエキストラシートも用意されるのだからすこぶる実用的でもある。

それにしてもインパネ回りは未来感に溢(あふ)れている。スイッチ類はハザードスイッチをのぞきほぼないに等しく(スターターボタンもない!)、例えばパフォーマンスコントロール、エアコン、世界中の放送局が聴けるラジオ、Googleマップなどの操作は17インチの巨大タブレットと言うべき縦型タッチスクリーンで行うのだ。

先進安全装備や電装装備のソフトウエアアップデートが可能ということから、ほとんど走るパソコンと呼んでいいかもしれない。クルマのカタチをした、ラゲッジ部分を押せばラゲッジ開くミニチュアキーもイケている。

デロリアンと違い、ドアはフツーに開く(キーを持って車体に近づくとドアオープナーが自動で出てくるところはフツーじゃないが。盗難防止にも役立つとか)。走り始めれば、車幅は気になるものの、アクセルペダル(というのか?)をグイッと踏み込めば、そんなことなどどうでも良くなりそうだ。

ハイパフォーマンスEVならではの瞬時に立ち上がる、ワープ感覚の驚異的なモーターレスポンス、加速力を、一切の排気ガス、爆音なしに披露するのだけれど、その加速感は一般的なEVが新幹線だとしたら、こちらはジェット旅客機の離陸のようでもある。しかも超軽快だから、まさに血の気が引く感覚だ。バック・トゥ・ザ・フューチャーのデロリアンが時空を越え加速したときも、きっとこんな感じじゃないか? なんて思ってしまった。

穏やかに運転をしてもテスラの未来感ある走行性能、魅力は十二分に伝わってくるのだが、もちろん超絶な加速力に対応した鉄壁の安定感、ブレーキ性能もしっかり確保されている、どころか、終始、このパフォーマンスにして硬さとは無縁の快適感ある乗り心地と、バッテリー床下配置による低重心がもたらすオン・ザ・レールのフットワークを見せつけてくれるのだから、速度を上げるほどに感動が深まる。

「インセイン(狂気の)モード」も試したが、当然ながらガソリンエンジンのスポーツモードのような飛び出し感、低いギアで引っ張りがちな扱いにくさは一切なし。ウルトラシームレスなタイムマシン的狂気の加速力はしかし、公道で試すには次元が高すぎる。

ふと、狂気と快楽が交錯するこの未来空間で、ピンクフロイドの「狂気」30周年記念版を聴きたくなったのも本当だ…。

それはともかく、大容量の前後トランク、広々とした後席をも備えた4ドアのテスラは、実は犬を乗せるのにも向いている。EVならではの滑らかさを極めた加速感は、車内でどこかにつかまれない犬にも優しく、座面が低めの後席はもちろん、ハッチバックタイプだから、リヤラゲッジにも乗せることができる。恐ろしく静かで19インチタイヤを履いていても乗り心地が素晴らしくいいのだから、愛犬も快適・大満足のはずだろう。デロリアンではそうはいかない。

ただ、各種モニターや自動駐車機能が付いているとはいえ、やっぱりデカイ。わが家の駐車場ではドアを全開できず、前後にクルマが停まっている枠内路上パーキングの駐車もちゅうちょする。電柱がハザードとして迫る裏道なんかには絶対に入りたくない。全幅1.8mぐらいなら、宝くじ当たれば即買いなんですけどね。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行なっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
《青山尚暉》

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