【ホンダミーティング15】新開発の10速オートマチックトランスミッションを体験

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新開発の10速オートマチックトランスミッションを搭載した、アキュラ RLX
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ホンダが大型乗用モデル用に新たに開発した10速自動変速機を搭載するアキュラ『RLX』を短時間テストドライブした。

従来のホンダのATは俗に「平行軸式」と呼ばれる、手動変速機に近いギアのレイアウトを持つ独特の構造を持っていた。それに対して新10速ATは、世界で広く使われている遊星歯車式AT。ホンダとしては初物である。

アキュラ RLXで本田技術研究所の高速周回路をクルーズしてみたが、変速フィールはダイレクト感に富んだ、とてもスポーティなものだった。トルクコンバーターは発進時以外はロックアップ状態を広く保っており、変速ショックの吸収は内部の湿式多板クラッチとスロットル開度の協調制御で行っているようだった。

変速フィールの素晴らしさはBMWのRWD(後輪駆動)系モデルに搭載されている独ZF社の8速ATと同等に感じられた。聞けば、開発にあたって最も勉強したのは、そのZFのATであったという。ギア段を2段、3段飛ばしてシフトチェンジできる点もZFと同じだ。50km/h巡航時のエンジン回転数は10速2200rpm。180km/h巡航時は応答性とエンジンの熱効率の両面から、基本的に9速が選択されるようなプログラミングであるという。

もっとも、エンジンや変速機は、一発モノの試作を良いものに仕上げるのは難しいことではない。問題は量産でこの性能を出せるかどうかだが、開発陣によれば現時点ではまだ制御の熟成の途中段階で、最終目標はZF以上になることなのだそうだ。

ダイレクトなシフトフィールの遊星ギア式ATを作れるとなると、8速以下のコンパクトなATの新造にも期待が高まってしまうところであるが、技術研究所首脳によれば、遊星ギアATが搭載されるのはあくまで大型車向けのみで、排気量3リットル未満の中小排気量エンジンにはCVT(無段変速機)を組み合わせるという従来の方針に変更はないとのこと。メインの北米でも月販200台程度と低迷しているアキュラ RLXのガソリンモデルを日本で売る意義はほとんどないことを考慮すると、10速、8速といった新型多段ATのホンダ車に一般のカスタマーが触れられる可能性は残念ながら低いであろう。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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