【ITS世界会議15】欧州で進む公共自動EV、ボルドーの会場内でも実験 | レスポンス(Response.jp)

【ITS世界会議15】欧州で進む公共自動EV、ボルドーの会場内でも実験

自動車 テクノロジー ITS

LIGIER社とrobosoft社のジョイントベンチャーEASY MILE社の手によって開発された『EZ10』
  • LIGIER社とrobosoft社のジョイントベンチャーEASY MILE社の手によって開発された『EZ10』
  • 定員は12名。6名分のシートが備わる
  • 土の上を走行しても正確なに同じルートをたどる
  • 車内ではオペレータ代わりの説明員がシステムの解説を行った
  • ドアの入口には緊急停止ボタン(一番上)、車椅子用昇降ボタンなどが装備
  • 停止位置を示すディスプレイ
  • ルーフの上に備えられたGPSセンサー
  • 車両の前後には各1台ずつのカメラが備わる
10月2日からフランス/ボルドーにおいて開催されたITS世界会議2015では、自動走行シャトルの実証実験「CityMobile2」の一環として、EASY MILE社製造の『EZ10』によるデモ走行を実施。会場では展示場と会議場間を結び、実際に人員の輸送システムとして使われていた。

『CityMobile2』とは、欧州で進められている自動走行シャトルを使った研究プロジェクトのことで、現在フランスやイタリア、フィンランドの各地で実証実験やショーケースが実施中だ。今回、ITS世界会議で準備されたEZ10は、車両開発製造を担当したLIGIER社とソフトウェアを担当したrobosoft社のジョイントベンチャーEASY MILE社の手によって開発された自動走行EVである。

車両はあらかじめ指定されたルートをSLAM方式によって自律走行する。SLAM方式とは、人気のロボット掃除機にも採用されている考え方で、各種センサーがリアルタイム収集した情報からマップを作り出し、そのマップ情報に基づいて自車位置の精度を決めていく。車両にはセンサーとして、GPSやカメラ、レーダーの他、車両の四隅にはレーザースキャナーが突き出すように取り付けられていた。

人との混在が想定される場所を走らせているため、当然ながら速度はゆっくりだ。展示場と会議場間は1kmにも満たない短い距離で、その間を人間よりも少し速い速度で行き来する。EZ10にはハンドルなど車両をコントロールする設備を表面上見ることは一切ない。緊急時にのみオペレーターが動かすためのコントローラーが備わるだけだ。

配られたカタログによると、乗車定員は6人掛けシートに立ち席6人を加えた計12名。巡航速度は20km/hで最大速度は40km/h。リチウムイオンバッテリーで14時間の駆動が可能だという。自動走行車には欠かせない緊急停止ボタンの他、車椅子用昇降板の操作ボタンも装備されていた。

フランスではドライバーなしでの走行は禁止されているため、EZ10にはその代わりとなるオペレーターが乗車。逐次解説を行いながら走行した。それによると各地で行われている実験は概ね好評で、域内交通手段として有効性は高い。利用者が多いピーク時は決められた停留所を経由してルーティングし、オフピーク時は登録者がスマートフォンを使ってオンデマンドで呼び出すことができるという。価格も聞いてみたが、システムで納入するため一概には言えないとの回答しか得られなかった。

驚いたのはその正確な軌道だ。まるでレールの上を走るかのように軌跡を正確にたどって車両が動いていく。会場から途中の道路に出る際には一旦停止し、左右を確認したかのように再び動き出した。この間、オペレーターはずっとシステムの解説をしつづけている状態。車両は自動的に目的地へ向けて動いている。

そのようななか、車両が急停止! 見ると車両の前を人が横切っていた。センサーが人の存在を認識して急停止したのだ。速度がゆっくりだからこそ対応できたのだと思うが、混雑時はどうなるのか。欧州には歩行者とトラムが混在している地域が多く、同じような対応をしていくことで走行はそれほど問題なくできると考えているようだ。

同じくITS世界会議に参加した三菱総合研究所の杉浦孝明主席研究員は、住民、歩行者などが混在する生活環境である一般道路での乗用車の自動運転は技術的にも、事故が発生した場合の責任問題等も課題が多いとしながらも、「低速で固定の経路を走行するCityMobileのような公共モビリティは実現性が高く、地域の移動手段の確保にも貢献できる。また、この技術を応用すれば、現在、ネットショッピングなどで需要が増加している戸別配送を無人化、自動化できる可能性もある。」と評価する。

いまの技術でも可能な自動走行による公共のモビリティは、日本の地域の問題解決にもひとやく買ってくれそうである。

(編集部追記)
《会田肇》

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