日本の自動車部品の大手サプライヤーであるデンソーは、フランス・ボルドー市で開催中の第22回ITS世界会議ボルドー2015に出展。高度運転支援システム「ADAS」が急速に進化を遂げる中で、それを支える自社製品の技術力をアピールした。
展示コンセプトは「世界の命を技術で守りたい~いつもの安心、もしもの安全~」。発生してしまった事故やトラブルは一件だとしても、その背景にはマイナーミスが29件、ニアミスなら300件もの原因があるとの調査がある。デンソーはその調査を念頭に、202X年頃に実現すると予想されている自動運転に向けたHMIの高度化を目指す。
その中で、メインに据えているのが将来型コックピットだ。デンソーが考える人とクルマのコミュニケーションを体験できるのがポイントで、その根底にはデンソーが目指す高度なHMI思想が含まれている。
システムでは大型ヘッドアップディスプレイがフロントガラスに運転を支援する様々な情報を映し出し、ドライバーステータスモニターによってドライバーの脇見や眠気などを捕捉。車両後方カメラで撮影した映像をディスプレイに表示する電子ミラーも搭載する。また、車両が危険な場所に到達するとドライバーへ注意を促し、合流時・車線変更時はその存在を知らせることも行う。
走行中の車線がどの位置なのかが把握できるもADASロケーターも展示。GPS測位と搭載したカメラの映像を複合させて実現した。その他、自車に対して接近してくるものがあるとカメラがそれを検出して警告する運転支援システムや、年末までにリリースを予定しているスマホ用アプリ「スピン&クリック」と、それを遠隔操作するコントローラー「KKP(くるくるピ)」のデモもおこなわれていた。
面白いと実感したのは「アクティブセーフティシステム」のデモだ。ADASの実現には様々なセンシングが行われるが、一般には利用シーンごとにどのセンサーが使われているのかを理解するのは難しい。そこでデンソーはその関係を誰でもすぐに理解出来るようにしたデモ機を開発したのだ。
ディスプレイ上に自動車の模型を置くと、試したいADASのメニューが表示される。その中から確認したい項目を選ぶと、模型を置いた位置からその効果を俯瞰できるデモがすぐにスタートする。画面ではその効果が映し出され、同時に動作したセンサーの周囲もフラッシュ。これで利用シーンとセンサーの関係が簡単に把握できるようになっているのだ。
ユニークなのは、模型をどの位置に、どの向きに置いても、その置き方に合わせたデモがスタートすること。これなら見たい方角からその効果を把握できるし、何よりも360度どの位置にいても効果を体感できる(今回は展示状況から叶わなかったが)。この使い勝手は素晴らしい出来と言っていい。このデモ機は東京モーターショーにも出展される予定だ。