ジャケットをサラッと羽織って、気軽に乗ることができるようなバイクだ。車体の動きが軽快で、自由自在に操れるフィーリング。ハンドリングも軽く、コーナーでは狙ったラインを外さないし、旋回中にラインを容易く変更することもできる。
エンジンもしっかり力がある。スロットルレスポンスは充分にクイックでキビキビ走る。加速も250ccにしては鋭く、中高回転の伸びも気持ちが良い。レブリミッターが効く寸前まで、ジワジワと粘り強く速度を上げる。
ライディングポジションはアップライトで、気兼ねなく乗れる。プラットフォームとエンジンを共用するフルカウルモデル『YZF-R25』は前傾姿勢で乗るが、『MT-25』ではハンドル位置を39mm高く、19mm手前にセットされ、上体が若干起きる。
足着き性も良く、車体も乾燥重量165kgと軽いから、小柄な人やビギナーも安心して乗れるだろう。押し引きも苦にならないし、エンジンやハンドリングにも神経質な部分がない。
前後サスも申し分ない。初期でしなやかに動き、負荷をかけたときはしっかり踏ん張ってくれる。スポーツライディングを楽しめるバランスの良さがあり、エンジン、足まわり、シャシー、いずれも過不足を感じない。
バイクを操る楽しさをどんな技量のライダーでも楽しめるフレンドリーなモデルで、ライディングの基本を学ぶにもうってつけだろう。
ただし上級者が乗っても、夢中になること間違いなし。幅広い層に高く評価されるモデルだと思う。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★★
スタイル:★★★★
オススメ度:★★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説している。現在多くのバイク専門誌、一般誌、WEB媒体で活動中。