1964年に第一回が開催されて以来、50年以上の歴史を誇るリノ・エアレースにて、日本人パイロットとして13年間連続出場する比嘉実さんにインタビューした。比嘉さんは30年以上前に世界最速のエアレースと称されるショーを見て、「パイロン・レース・パイロットになりたい」と思ったことをきっかけに、1983年にパイロット免許を取るためにアメリカに渡航した。米連邦航空局の航空機機体整備士、航空機検査官などの資格を取得し、1996年にはアクロバット・パイロットとして世界選手権に日本人として初出場を果たしている。アメリカでもエアロバティックスはニッチな分野であり、インストラクターに習うだけではなく、独自にも技を磨いてきた。同時に、複葉機「ピッツS1S」を購入し、18年間かけてコツコツと部品を購入して改造を重ねてきた。飛行機を速くするためには、圧縮比を高めるなどによってエンジンの出力を高めつつ、空力特性を高めることが重要だ。オリジナルでは180馬力を発生する4気筒エンジンを搭載しており、圧縮比は8.7:1だった。比嘉さんは、10.5:1まで圧縮比を高めて、20馬力上げた。また、遊覧飛行機で2700rpm程度であるエンジン回転数を、エアレース用に3250rpmまで高めている。さらに、自ら設計したカウルで15cmほどノーズを伸ばして、空力性能を向上させることにより、200mphを越えることに成功した。一方で、オーバル・コースでのレースを観戦していると、最高速の勝負になるように思えるが、比嘉さんいわく腕の差が出るという。「直線とターンが半分ずつあるので、ターンでの技量がないと、折角、飛行機が速くでも勝てません。例えば、僕より10mph速い飛行機があっても、僕を抜けないということもあるんです。直前でぐっと追いついてくるけど、ターンで引き離すわけです」クルマの世界ではコーナリングの際に減速してから侵入するが、航空機のレースでは最初から最後までフルパワーをかけて、バンク角をつけて傾けることでターンしていくという。ただし、バンクした瞬間に大きな空気抵抗がかかるため、この頃合いが難しい。そのときの競り合いの状況や、その人によってターンのスタイルが異なる。上からターンインして抜きに行ったり、内側に入って抜くといった競り合いのバリエーションを知ると、さらにエアレース観戦を楽しむことができるだろう。最後に、13年間参戦し続けて、今年初めて200mphを超えた喜びを語ってくれた。「最初に出場した年の最高速は161mphでしたが、今年初めて200mphを超えて、204mphを記録しました。次に目指すのは210mphですが、この飛行機なら220mphまで最高速を高められると考えています。リノ・エアレースには13年間ずっと参戦してきましたが、毎年、出続けることが重要です。これからも参戦し続けていきます」すでに、来年までに5~6か所の改造箇所を予定しており、来年はあと4mphほど速くできると考えているそうだ。
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