19日、宮城県のスポーツランドSUGOでSUPER GT 第6戦が開幕。公式予選が実施され、GT500クラスでは日産GT-Rの本山哲&柳田真孝がポールポジションを獲得した。GT300クラスはホンダCR-Zの高木真一&小林崇志がトップ。
いよいよ終盤、今季も今回を含めて残すは3戦。タイトル争いが緊迫の度を増すのはもちろんだが、第6戦にはウエイトハンデが「獲得ドライバーズポイントの2倍」を原則とするラウンドの最終、という側面もある(第7戦は1倍、第8戦はノーハンデがそれぞれ原則)。つまり、これまでの成績によってマシンの“状態”が大きく異なることになるので、ポイント上位陣が力を発揮しにくい局面のレースともいえるのだ。
シルバーウイーク初日のSUGOの天候は晴れ時々曇り。朝のフリー走行開始時は前夜の雨の影響が路面に残っていたが、午後の予選は完全ドライでの戦いとなり、GT500クラス15台、GT300クラス27台が2段階ノックアウト方式で決勝スタート位置を争った(GT300は27台中2台が予選不出走)。
GT500クラスはウエイトハンデが50kgを超えた場合、50kg分はエンジンの燃料流量リストリクターによる調整に振りかえられる。今回は約半数にあたる7台がこのゾーンに入っているが、この“燃リス調整”へのメーカーによる対処の仕方もマシン戦闘力には影響してくるところで、今季ここまでの印象では昨季同様、日産GT-R勢に良好な様子が窺える。
なお、現在ドライバーズポイント51点で首位の#12 カルソニック IMPUL GT-R(安田裕信&J-P.デ.オリベイラ/タイヤはブリヂストン=BS)はハンデが102kgという計算になるが、100kgが行使の上限なので「50kg分の燃リス調整+実重量の50kg」という扱いでの出走だ。
ポールポジションを獲得したのは、#46 S Road MOLA GT-R(本山哲&柳田真孝/ミシュラン=MI)。「朝の走行からフィーリングが良かったです。クルマが思うように動いてくれました」と語る柳田がQ1を突破し、続くQ2では本山が1分11秒607というニューコースレコードタイムでポールを決めた。「朝からクルマもタイヤも良く、比較的安心して過ごせた日でした。思い切りアタックできましたしね。チーム全体の力で獲れたポールだと思います」と本山。
#46 GT-Rは現在30点獲得でランク6位、今回のハンデは「50kg分の燃リス調整+10kg」。SUGOというコースにおいて実重量のハンデが10kgと少ないことは追い風に働いたようだ。本山と柳田もその旨を語っている。とはいえ、まずは両ドライバーの走りが素晴らしく、チームとミシュランがいい状態のマシンを仕立てられたからこそのポールで、まさしく「チーム全体の力」の充実が感じられる快走ぶりだった。明日の決勝で#46 GT-Rは今季2勝目を狙う。
予選2~3位はホンダ勢。#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴&伊沢拓也/BS)、#64 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐&B.バゲット/ダンロップ=DL)の順で続いている。予選4位はレクサス勢トップとなる#37 KeePer TOM’S RC F(A.カルダレッリ&平川亮/BS)で、現在ポイントランク5位の彼らも#46 GT-R同様、実重量のハンデが18kgと比較的軽めだったことを活かせたといえよう。
以下、予選5位は#24 D’station ADVAN GT-R(佐々木大樹&M.クルム/ヨコハマ=YH)、同6位は#6 ENEOS SUSTINA RC F(大嶋和也&国本雄資/BS)。
そして、やはりと言うべきか、実重量のハンデが重め(28~50kg)なランク1~4位のマシンはいずれもQ1落ちし、11~14位に並んだ。ランクトップの#12 GT-Rは予選14位。予選11~13位の順位は以下の通り(カッコの後ろは現在のドライバーズポイント)。
11位 #36 PETRONAS TOM’S RC F(伊藤大輔&J.ロシター/BS)43点
12位 #1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生&R.クインタレッリ/ミシュラン=MI)39点
13位 #38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路&石浦宏明/BS)44点
なお、#36 RC Fはエンジン使用基数によるペナルティで、決勝スタート後に10秒ストップが科されることとなっている。
GT300クラスでは、今季圧倒的な強さを誇る#10 GAINER TANAX GT-R(A.クート&富田竜一郎/DL)のパフォーマンスに注目が集まった。現在ドライバーズポイント首位のクートが69点、実質のランク2番手を31点も引き離しており、今回の結果次第では2戦を残して事実上の戴冠決定さえあり得る状況なのだが、計算上のハンデは138kg。GT300は50kgを超えてもすべて実重量で積む規則なので、上限100kgを背負っての臨戦である。それでもやはり速いのか。だとすれば、ドライバーと陣営の力の充実が示されるのはもちろんだが、GT-Rとダンロップタイヤのマッチング恐るべし、ということになる。
果たして、#10 GT-Rはクートが見事にQ1突破を果たし、13台で競うQ2でも富田が8位に入るという、100kgハンデを考えれば素晴らしい予選結果を得た。実質のランク2位である#3 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹&高星明誠/YH)が予選15位だったことを考えても、#10 GT-Rにとっては上々の出来だろう。決勝でもその動向が注目される。
GT300のポールポジションを獲得したのは#55 ARTA CR-Z GT(高木真一&小林崇志/BS)。第4戦富士以来2戦ぶりのポール獲得となった高木と小林は、GT500のポールコンビ同様、タイヤを含めたクルマの仕上がりの良さ、チームの総合力をポール獲得の背景として語っている。明日の決勝ではタイトル争い生き残りのためにも、2戦ぶりのポール・トゥ・ウインを成し遂げたいところだ。
GT300の予選2~6位は以下の通り。
2位 #25 VivaC 86 MC(土屋武士&松井孝允/YH)
3位 #31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀&中山雄一/BS)
4位 #18 UPGARAGE BANDOH 86(中山友貴&佐々木孝太/YH)
5位 #88 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学&平峰一貴/YH)
6位 #77 ケーズフロンティア Direction 458(横溝直輝&峰尾恭輔/YH)
明日(20日)の決勝レースは81周、300kmの戦い。決勝スタートへのパレードラップは午後2時開始予定となっている。