神戸製鋼所は、自動車向け高張力鋼板(ハイテン)などの生産能力を増強するため、加古川製鉄所に2基目となる脱りん炉を建設することを決定した。総投資額は約90億円で2016年度に着工する。
加古川製鉄所は、2014年4月から脱硫設備2基と脱りん炉1基を備えた新溶銑処理工場が稼働している。2基目の脱りん炉は、新溶銑処理工場の中に新たに増設するもので、既設の脱りん炉と同様、上・底吹きガス攪拌の転炉型の設備とする。
同社鋼材の代表的なオンリーワン製品である自動車用高張力鋼板(ハイテン)、ばね鋼、スチールコード、軸受鋼やエネルギー関連向け厚鋼板などは、一般的な鋼材と比較して高い清浄度が要求される。このため、溶銑処理によって硫黄やりんを低減する必要がある。
今回2基目の設置となる脱りん炉は、従来行っていた混銑車による脱りん処理を切り替えるもので、処理時間の大幅短縮と効率化を図るもの。脱りん炉2基体制により、脱りん炉による溶銑処理比率は約90%に達する。
同社は、2017年度に神戸製鉄所の上工程を加古川製鉄所に集約する。今回の投資は、集約後の生産体制でコスト競争力強化と高付加価値製品への対応力向上が目的。
2017年度に営業運転を開始し、年間20億円強のコストダウンを達成するとともに、ハイテン材など、オンリーワン製品への対応力向上を図る。