軽量化と部品数を削減、ZFのGRP製トランスバース・スプリングの効果とは

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自動車をさらに高効率化するために、ZFはシャシー部品の軽量化設計にも積極的な取り組みを見せている。

同社がベルリン郊外で開催したメディアイベントで公開された、乗用車向けの軽量リアアクスルもそのひとつ。自動車の運動性能、そして走行安定性に象徴される安全性を向上させるために、ここ数十年間にアクスル関連部品の設計は複雑化し、同時に重量面でも増加の傾向にあったのだが、ZFはその傾向を独自の軽量化設計で覆すことに挑んだのだ。

ZFの新設計軽量アクスルには、GRP=ガラス繊維強化プラスチック素材を用いた、ホールガイド式のトランスバース・スプリングが組み込まれていることが特長。このGRP製スプリングはサスペンションアームとしての機能も持ち、それはリアアクスルを構成する部品点数、そして重量の削減に大きく貢献する。

ちなみにZFによれば、通常のマルチリンク式リアサスペンションと比較した場合には、約13%を軽量化するとともに、それと同等のハンドリング性能を実現している。

メディアイベントでは、この新設計リアアクスルを搭載した、VW『ゴルフ』ベースのプロトタイプ車のステアリングを握ることができたが、軽量化の効果はともあれ、テストコース内のコーナリングで、リアサスペンションが常に素晴らしい追従性、そして乗り心地を感じさせてくれたのが印象的だった。

トランスバース・スプリングは、もちろん種々のストロークやロール剛性など、自動車メーカーからのリクエストに対応した設計が可能。量産に向けてのプロセス技術も、すでにZFの複合素材テクニカルセンターで開発済み。量産はまもなく開始される予定だという。

ZF独自の軽量化設計によって生み出された製品にはほかに、すでに量産に移行しているものでは、アルミニウム製チューブの剛性を必要部分のみ強化することで、一般的な仕様に対して25%の軽量化を達成したダンパーや、同様に23%が軽量化されたSMiCA=ボールジョイント一体型シートメタル製コントロールアーム、そして50%の軽量化とともに完全リサイクルをも可能にした、FRC=繊維強化複合材によるブレーキペダルなどがある。

自動車の高効率化に、ZFの最新技術はさまざまな方向から大きく貢献しているのだ。

《山崎 元裕》

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