発表されたばかりの電動スクーター『E-Vino(イービーノ)』(8月20日発売)に早くも乗った。これまでのEVといえば、近未来を意識したどちらかといえば奇抜とも言えるスタイルだったが、イービーノはごく普通の可愛らしいスクーターにしか見えない。
右レッグシールドやサイドカバーにあしらった「eマーク」、メーターの表示内容などで電動であることはわかるものの、既存(ガソリン車)のビーノとさほど違いがないのだ。
しかし電源を入れ、スタートさせると、まるで違う。言うまでもなく音はほとんどせず、モーター音だけが聞こえる。
加速はなかなか鋭く、モードを「パワー」に切り替えるとより力強い。さらに「ブースト」ボタンを押すと30秒間よりパワーアップし、まるでファミコンにあった『エキサイトバイク』(1984年に任天堂より発売)のBボタン=ターボのよう。ゲームでは使いすぎるとオーバーヒートして転倒してしまうが、イービーノではバッテリー消費がいくぶん激しくなるだけで、致命傷にはならない。
スイスイ軽快に走るが、試乗コースが屋内の特設コースのみで、それ以上のことは正直なところわからない。ただし、押し引きはビーノより軽く、ビーノ デラックスの80kgとくらべると12kgの軽量化を果たしたというのは伊達じゃない。
気になるのは航続距離だが、カタログ公表値では29km(30km/h定地)となっている。オプションのバッテリーを追加しダブルで搭載することも可能。ヤマハの調べではEV車ユーザーの過半数が片道5kmという近距離で使っているとのことなので、余裕は十分といったところか。
あとはお値段。補助金を利用すればガソリンエンジンのビーノ(ビーノ デラックス=20万4120円、ビーノ モルフェ=20万5200円)との価格差は1万円程度(23万6520円ー2万円=21万6520円)だから、ガソリン代を考えるとすぐに取り戻せる。「どうせ買うなら電動で」という人が多くなりそうだ。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★★★
オススメ度:★★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説している。現在多くのバイク専門誌、一般誌、WEB媒体で活動中。