現地26日、F1ハンガリーGP併催の「GP2」において、松下信治(のぶはる)が初優勝を飾った。前日のレース1決勝で8位に入った松下は、その上位8台がリバースで配されるレース2のグリッドにおけるポールを獲得。好スタートから初優勝を達成した。
F1の登竜門シリーズとして知られ、F1の欧州系ラウンドとの併催を原則に実施されているGP2。ルイス・ハミルトンやニコ・ロズベルグがF1昇格前にチャンピオンとなったシリーズだが、昨年の全日本F3選手権チャンピオンである21歳の松下は今季が初参戦。ホンダとマクラーレンによるドライバー育成プログラムの一貫で、強豪チーム「ART Grand Prix」からの参戦というチャンスをつかんでいる(ARTではロズベルグが05年、ハミルトンが06年に王座を獲得するなど、活躍選手多数)。
開幕戦バーレーンで予選2位、第4大会オーストリアでも予選2位となり、同大会のレース2決勝で初表彰台3位を獲得するなどしてきた松下は、今回の第6大会ハンガリーでは予選21位。しかし、レース1決勝で8位までポジションを上げてゴールし、レース2をポールからスタートする権利を得た。そしてそのチャンスを見事に活かしての初勝利、日本人ドライバーとしては小林可夢偉以来、史上2人目のGP2優勝だと見られる(手元集計)。
「マシンの状態は素晴らしかった。予選では自分のミスによって21位という今季ワーストの結果になってしまったが、昨日(レース1で)大きなリカバーを果たしたことによって、今日はポールからスタートできた」と、前々日~前日を振り返る松下。そして今日(レース2)は「良いスタートを切ることができたので、あとは最後まですべてをコントロールするだけだった」という、完勝での初優勝となった。気温・路温が前日よりも大きく下がったことで皆がタイヤマネージメントに悩むなかでの勝利だった、という意味でも価値の高いそれであったようだ(コメントはGP2公式サイトより)。
松下は現在シリーズランキング8位。チームメイトであり、マクラーレンのテストドライバーでもあるストフェル・ヴァンドーンがシリーズ首位を独走している(今回松下が勝ったレース2でも2位)。今後は予選結果によるグリッドからスタートする完全実力勝負のレース1でヴァンドーンを打ち破って優勝すること、これが松下の目標になるだろう。そしてシーズン後半、それができれば本場欧州での評価もさらに上がるはず、期待したいところだ。
今季のGP2は残り4大会の予定。次戦はF1同様、8月21~23日のスパ・フランコルシャン(ベルギー)戦となる。鈴鹿と並び、世界でも有数のドライバーズサーキットと評されるスパでの松下の活躍が楽しみである。