国立天文台、東京大学などの研究者からなる研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム」(HSC)を使って暗黒物質(ダークマター)の分布図の作成に成功したと明らかにした。
今回研究チームは、HSCでの観測初期に取得されたデータを使って解析し、2.3平方度にわたる天域のダークマター分布を作成、銀河団規模のダークマターの集中が、この天域に9つ存在することを突き止めた。
これは現在の宇宙モデルに基づく予測よりも多いもので、偶然、宇宙の平均よりダークマターが密集した天域を観測した結果か、過去においてダークエネルギーが期待されていたほど存在せず、緩やかな宇宙膨張のなかで天体形成が早く進行した結果なのかは、明らかになっていない。
今回の解明には、今後のより広い天域での観測結果が必要となる。
研究チームは、最終的に観測天域を1000平方度以上に広げ、ダークマターの分布とその時間変化から宇宙膨張の歴史を精密に計測する課題に取り組む。
今回の研究成果はHSCによる最初の科学的成果で、米国の天体物理学専門誌「アストロフィジカル・ジャーナル」7月1日号に掲載された。