現地20日、SUPER GTの今季第3戦がタイの「チャン国際サーキット」で開幕。この日は公式予選が実施され、GT500クラスはレクサス勢の1-2、立川祐路&石浦宏明がポールポジションを獲得した。GT300のポールはマザーシャシー使用車の「86」を駆る土屋武士&松井孝允。
タイ大会は今年で2年目。昨年は10月の開催だったが、今年は6月に移った。一昨年まではマレーシア大会が開催されていた時期であり、SUPER GTのカレンダー的にはこちらの方が自然というか、海外開催時期としては馴染み深いところもある。チャン国際サーキットは1周4.554km。比較的フラットで、ストレート数本と回り込んだコーナーを中心としたレイアウトのコースだ(昨年8月にオープン)。
現地午後3時からの2段階ノックアウト式予選は、予想通りと言うべきだろう、暑いコンディションでの戦いとなった。路面温度が60度を超える局面もあったようだが、そのなかで15台が競ったGT500クラスは、レクサスRC F勢が優位を築く展開に。6台中5台がQ2進出(Q1上位8位まで)を果たしたレクサス勢は、午前中のフリー走行では出走4台でタイム上位を独占した日産GT-R勢に対しての形勢逆転を果たす格好で、最終的に予選1-2-4-6-8位を獲得する。
ポール獲得は#38 ZENT CERUMO RC F(立川&石浦/タイヤはブリヂストン=BS)。5月のスーパーフォーミュラ(SF)第2戦岡山では立川監督&石浦選手としてSFシリーズ戦初優勝を飾ったコンビ(チーム)が、今度は立川選手&石浦選手として今季初ポール獲得を成し遂げた。
Q2で1分25秒295をマークしてポールを決めた立川は「嬉しいのは間違いないけど」としたうえで、「前戦の富士では自分のミスから早々にレースを終えることになり、チームにも石浦にも申し訳なかった。今回ポールを獲ったことで少しは埋め合わせができたのかな、と思います」と、安堵の気持ちの方が強い旨を語っている。GT500の通算最多ポール&最多勝記録保持者である立川にとっては、これが20回目のポール。#38 RC Fは明日の決勝で今季初優勝を、そして立川の通算17勝目を目指す。
GT500クラス予選2位は、Q2でポールの#38と0.008秒差だった#36 PETRONAS TOM’S RC F(伊藤大輔&J.ロシター/BS)。3位には日産勢で唯一Q2に進出した#46 S Road MOLA GT-R(本山哲&柳田真孝/ミシュラン=MI)が入ったが、こちらもポールとは0.027秒という僅差だった。4位はレクサス勢3番手の#6 ENEOS SUSTINA RC F(大嶋和也&国本雄資/BS)。
ホンダ勢最上位は5位の#64 Epson NSX CONCEPT-GT(中嶋大祐&B.バゲット/ダンロップ=DL)。6位には現在ポイントリーダー、つまり最も重いウエイトハンデを背負う#37 KeePer TOM’S RC F(A.カルダレッリ&平川亮/BS)が入っており、これはひとまず上々の結果だろう。
23台での戦いとなったGT300クラスでポールポジションを獲得したのは、今季からGT300に本格導入の「マザーシャシー」を使用してマシンメイクされた1台である#25 VivaC 86 MC(土屋&松井/ヨコハマ=YH)だった。
Q2で1分33秒915をマークした土屋は「クルマはレースのたびにアップデートしているし、セッション毎にセットを変えて速くなっている。このコースはウチのマシンにも合っていて、走っていて楽しかった」と語る。開幕戦の岡山で決勝6位を得るなど、仕上がりの高さを当初から見せている#25「86」だけに、この初ポールを明日の決勝でどんな結果につなげるのか、興味深いところとなってきた。
予選2~3位は今季上昇ムードが強い日産GT-R(GT3規定仕様)勢が確保。#3 B-MAX NDDP GT-R(星野一樹&高星明誠/YH)は前戦に続く予選2位で、ポールの#25には0.073秒およばなかった。3位には前戦優勝車の#10 GAINER TANAX GT-R(A.クート&富田竜一郎/DL)。
ドイツ3メーカーの戦いもGT300クラスの焦点のひとつだが、今回の予選では4位にメルセデス勢最上位の#65 LEON SLS(黒澤治樹&蒲生尚弥/YH)、6位に#7 Studie BMW Z4(J.ミューラー&荒聖治/YH)、7位に#21 Audi R8 LMS ultra(R.ライアン&藤井誠暢/YH)と、近い位置に有力車が集まる構図となっている。予選5位は、開幕戦ウイナーで目下ポイント首位の#31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀&中山雄一/BS)。
また、今回は地元タイから#28 REITER GALLARDO(MI)がGT300クラスにスポット参戦。タイ出身のC.アサワヘムと、F1参戦経験もあるチェコ国籍選手のT.エンゲのコンビでランボルギーニを走らせ、予選は22位だった。
第3戦決勝は明日(21日)の現地時間15時(日本時間17時)にスタート予定、66周の戦いとなる。日本国内ではトヨタ、日産、ホンダ、スバルがパブリックビューイング実施予定など、海外開催とはいえ通常と変わらぬ大きな注目を集める決勝も、予選に続き猛暑下での過酷な戦いとなる可能性が高そうだ。地域的には突然の雨という可能性も考えられる。いずれにせよ、どういう天候状況であれ、片時も目の離せない300kmバトルになるだろう。