【ホンダ ステップワゴン 試乗】上級車からの乗り換えもOK、ミニバンと思えぬフラット感…会田肇

試乗記 国産車
ステップワゴンの最上位モデル「G・EX」
  • ステップワゴンの最上位モデル「G・EX」
  • ステップワゴン「G・EX」の走行シーン
  • 1.5Lターボとした「L15B」。最高出力は150ps、最大トルクは203N・m/1600~5000rpm
  • 新型ステップワゴンのインパネ。機能的なデザインが好ましい
  • フロントシート周り
  • セカンドシート。サイズ的にたっぷりとして乗り心地がいい
  • サードシートは十分実用になる空間を確保
  • ライン装着ナビと連動して進行方向をガイド。交通標識の反映はホンダセンシングの機能

いよいよ日本車もミニバンで本格的なダウンサイジングが始まった!そう実感させてくれたのが新型『ステップワゴン』だ。1.5リットルの小排気量エンジンにターボチャージャーを組み合わせ、1700kgものボディを軽々とスムーズに走らせた。その走りは実に気持ちの良いものだった。

ステップワゴンが位置するクラスは強力なライバルがひしめく、言わば“激戦区”。ライバル達もそれぞれに自社技術をフル投入して販売実績を上げるのに必死だ。日産は『セレナ』に「S-ハイブリッド」を採用し、トヨタは『プリウス』のハイブリッドを『ノア』&『ヴォクシー』に搭載した。ともに好調な販売実績を残している。そんな中、新型ステップワゴンのダウンサイジングターボによる戦略は功を奏するか。そこが一番気になる部分であった。

結論を先に言えば、その心配は無用だった。ミニバンということもあり、試乗は普段よりも少し多めの3名乗車で行ったのだが、低速トルクがかなり太めになっていて市街地でも軽々とクルマを走らせたのだ。とくに3000回転以下は従来の2リットルエンジンよりも力強さを感じさせ、もしかしたら『オデッセイ』と比較できるレベルかもしれない。小排気量ターボ車といえば、高回転型というイメージが強かったが、少なくとも新型ステップワゴンには当てはまらない。

何よりも驚いたのがミニバンとは思えないフラット感。これが実に快適な乗り心地を生み出していた。上級車オデッセイと比較しても、それを凌駕する質の高さだ。ハンドリングも素直で、ワインディングも思い通りのラインをきれいにトレースしてくれる。通常、各メーカーには車格内に収める考え方があり、ホンダでいえば「オデッセイは超えられない」はず。しかし、この仕上がりは明らかにオデッセイを上回っている。これなら上級車から乗り換えたとしても不満は出ないだろう。

最新の安全装備「ホンダセンシング」がオプションとは言え用意されたのも朗報だ。衝突軽減ブレーキや車線維持支援システムなどの他、ACCも搭載するフルスペック仕様で、ロングドライブにバッチリ貢献してくれることは間違いない。ただ、ACCは全車速対応ではなく、30km/h以上でないと動作しない。渋滞時の追従はしてくれないのだ。ホンダによれば「現状では停止した車両を維持することができないため」とするが、渋滞時の使い勝手を考えれば、多くの人が全車速追従型の方がうれしいと感じるだろう。

そして注目の“わくわくゲート”、これが素晴らしい出来だ。上下方向に開く以外に、折戸のように左3分の2で開く、いわゆるカラクリドアであるが、荷物の出し入れだけでなく、人の出入りでも重宝すること間違いなし。サードシートの折りたたみも後方からワンタッチで行え、手間をかけずに使えることに配慮している。ただ、サードシートに出入りする場合は、片方をフロアにしまい込むことになるが、この状態だとサードシートは座っていても落ち着かない。できればサードシートにもアームレストぐらいは欲しかった。

エンジンが1.5リットルとなったことで自動車税も保険料も安くなる。しかも走りを犠牲にするどころか、却ってスムーズさを増している。ミニバンの走りに不満を持っていた人にも十分満足してもらえる。新型ステップワゴンは、そんな出来の良さを感じさせてくれた。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

会田肇|AJAJ会員
1956年・茨城県生まれ。明治大学政経学部卒。大学卒業後、自動車専門誌の編集部に所属し、1986年よりフリーランスとして独立。主としてカーナビゲーションやITS分野で執筆活動を展開し、それに伴い新型車の試乗もこなす。クルマを購入する時の適切なアドバイスとなるレポートを心掛ける。 

《会田肇》

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