アニメーション分野の研究家の業績を顕彰する日本アニメーション学会賞の2015年の受賞研究が決定、6月13日に横浜国立大学で贈賞式が行われた。受賞となったのはマーク・スタインバーク氏の研究著書『なぜ日本は<メディアミックスする国>なのか』(KADOKAWA)と、自身による原著『ANIME’S MEDIA MIX: Franchising Toys and Characters in Japan』Marc Steinberg( University of Minnesota Press)である。
また特別賞として、大山正氏と鷲見成正氏とその共著『見てわかる視覚心理学』(新曜社)が選ばれた。両氏の研究に加えて、アニメーション研究、学会の創立・発展に対する貢献も受賞理由としている。
日本アニメーション学会賞は日本アニメーション学会創設15周年を記念して、アニメーション研究の祁顕彰と奨励を目的に2014年に創設された。授賞対象は学会員だけでなく、またマーク・スタインバーク氏のようにアニメーションからメディア芸術まで広い分野が対象になっている。
アニメーションは文化、社会、経済に大きな影響を持っているが、国内ではその研究者や教育者、批評家などへの顕彰は限られている。日本アニメーション学会賞はそうした現状を打破する意味も込めた意欲的な取り組みだ。
マーク・スタインバーグ氏は、カナダのコンコルディア大学の准教授で映像を専門としている。長年アニメを中心とした日本カルチャーの研究を続けてきた。
『なぜ日本は〈メディアミックスする国〉なのか』では、日本のアニメに特徴ともされるメディアミックスの発展を分析し、その概念について歴史的、理論的アプローチを行っている。ここでは『鉄腕アトム』のアニメ作品、角川書店によるメディアミックスの発展と変容、そしてプラットフォームによるメディアミックスを取り上げる。日本アニメーション学会では、方法論および学術的成果はアニメーション研究の指標として高く評価されるとしている。
日本アニメーション学会賞2015
[主催] 日本アニメーション学会 http://www.jsas.net/
■ 日本アニメーション学会賞2015
『なぜ日本は<メディアミックスする国>なのか』
マーク・スタインバーグ著 (2015年/KADOKAWA)
原著『ANIME’S MEDIA MIX: Franchising Toys and Characters in Japan』
Marc Steinberg (2012/ University of Minnesota Press)
■ 特別賞:
大山正
鷲見成正
その共著 『見てわかる視覚心理学』(2014年/新曜社)
[アニメ!アニメ!ビズ/www.animeanime.bizより転載記事]