インディカー・シリーズ第9戦の決勝レースが現地6日、テキサス・モーター・スピードウェイにて開催され、スコット・ディクソンが第3戦以来の今季2勝目を挙げた。佐藤琢磨は16位。
ラウンドスケジュール的には早くも後半戦突入の2015年シリーズ、第9戦はインディ500(第6戦)以来今季2度目のオーバルコース開催である。シリーズ後半の8戦には今回を含めて5戦のオーバル開催がラインアップされており、それぞれのオーバルには大小、あるいは形状等の違いもあるとはいえ、後半戦の流れを占う上でも重要な一戦だ。
ワンメイクタイヤ供給ブランドの名を冠した第9戦「ファイアストン600」の決勝は、1周約2.3kmのオーバルを248周して競われる。夕暮れ時にスタートし、段々とナイトレース化していくのも特徴で、気温や路温の変化との折り合いをつけることが好走のポイントともなる。
レース序盤は予選上位だった名門ペンスキー(Team Penske/エンジンはシボレー)の面々、ウィル・パワー(#1)、シモン・パジェノー(#22)、エリオ・カストロネベス(#3)、ファン・パブロ・モントーヤ(#2)らが先頭集団を形成。しかしレースが進むにつれて彼らに食い込んでいき、やがて1-2体制を確立したのは予選7~8位のスコット・ディクソン(#9)とトニー・カナーン(#10)、もう一方の名門であるガナッシ(Chip Ganassi Racing/シボレー)の両ドライバーだった。
フルコースイエローコーションが出たのが1回のみというプレーンなレース展開のなか、終盤はディクソンが首位、カナーンが2位でガナッシ勢1-2が確実な流れとなる。最終局面で燃費作戦に活路を見出したアンドレッティ(Andretti Autosport/ホンダ)のマルコ・アンドレッティ(#27)とカルロス・ムニョス(#26)が一時的にガナッシ勢の間に割り込むシーンはあったが、アンドレッティ勢は結局後退、ディクソンとカナーンが1-2フィニッシュを決めた。
ディクソンは今季2勝目。「簡単ではなかったよ。我々はスティント毎にマシンへの微変更を加えていったんだ」。もちろん他陣営も同じだろうが、それを実らせることができたからこそ、「集団のなかでもいい走りができたし、スピードアップし続けることができた」。終わってみれば6位以下を周回遅れにする圧勝、3度のタイトル獲得経験を誇るディクソンと名門チームの底力が垣間見えた一戦であった。
3~4位はペンスキー勢のカストロネベス、モントーヤ、そして5~6位にはアンドレッティ勢のアンドレッティ、ムニョスと、今回は同一チームのマシンが2台ずつ順番にトップ6を占めるかたちのリザルトとなっている(ホンダ最上位は5位のアンドレッティ)。
佐藤琢磨(#14 A.J.Foyt Racing/ホンダ)は13番グリッドスタート。レースでは終始15番手前後のポジションでの戦いとなり、早い段階でラップダウンとなるなど、今回は見せ場をつくることができなかった。最終結果は16位。
佐藤琢磨のコメント
「昨日のファイナルプラクティスとは違うウイングセッティングでレースに臨みました。昨日よりダウンフォースを小さくしてみたのですが、これはレース終盤になって気温や路温が下がったときにマシンが速くなるようにと考えてのことです」
「しかし(結果的には)ダウンフォースがスタートからゴールまで、全く足りていませんでした。序盤からタイヤの消耗が激しく、早めにピットストップしてタイヤを交換しましたが、周回遅れとなってしまいました。レース後半はウイングを寝かせるセッティングに変更もしましたが、全体的に大変難しいレースになりましたね」
「次のトロントはストリートレース。デトロイト(ダブルヘッダーの第7戦で予選4位、第8戦で決勝2位)のようにいいパフォーマンスを見せることができるよう頑張ります」
9戦を終えてのドライバーズポイント首位はモントーヤで348。これをパワーが313、ディクソンが305、カストロネベスが286で追っている。ホンダ勢のポイントトップは全体5位のグレアム・レイホール(#15 Rahal Letterman Lanigan Racing/今回15位)で261(なおカストロネベスは第9戦の前に、以前のレースのペナルティによって減らされたポイントの一部が復活している)。
連戦続くインディカー・シリーズ、第10戦は次週末、カナダのトロントに移動してのストリートコースバトルとなる。決勝は現地14日開催予定だ。