【ホンダ ステップワゴン スパーダ 試乗】標準車と変わらない、極上の快適感と曲りやすさを堪能…青山尚暉

試乗記 国産車
ホンダ ステップワゴン スパーダ
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先代『ステップワゴン』は、標準車と、専用サスペンションをおごり1インチアップのタイヤを履く「スパーダ」では少なからず乗り心地に差があった。

しかし新型スパーダは絶品の乗り心地を持つ標準車と変わらない、硬さとは無縁の快適感を、専用サスペンションと標準車と同じ、基準となる16インチタイヤで実現している。そう、乗り心地面で標準車とスパーダの差はほとんどなくなったというわけだ。

今回は箱根の山道を中心に試乗したが、標準車Gより装備差で40kg重くなったスパーダでも登坂路を含め、動力性能はまったく不足なし。どころか、2リットル級のライバル同等以上の加速性能、登坂性能を発揮してくれたのだ。

ドライブフィールはとにかく素晴らしく軽やかで爽快。FFで1690kgの車重が信じられないほどだった。

標準車に対してリヤサスを強化したフットワークは箱根の山道でペースを上げても終始、安定感・安心感に満ちたものだ。軽めのパワステを切り込むと、スッとノーズがインに入り、ロール感は最小限。常識的な速度域での曲がりやすさはほとんど走り自慢のセダン感覚と言っていい。

快適感はズバリ、Mクラスボックス型ミニバンのエアロ系ベストである。サスペンションの初期ストロークが極めてスムーズで、ライバルがドシン、ガツッとくる段差などの大入力時でもサスペンション、タイヤ、ボディーがタン、タンと軽やかにしなやかにいなし、うねり路でのフラット感も見事。標準車同様、箱根のカーブにある赤い凸凹のゼブラゾーンを越えても、不快なショック、振動は皆無に近かった。あれっ、舗装し直したのかな? という印象を持てたほどなのである。

静粛性も文句なしだ。床下格納、サブドアからの乗降のためのステップ化を前提とした造りの3列目席のかけ心地そのものはともかく、3列目席と1列目席の会話も大声を張り上げずに済む。箱根の山道を流しているときに、ドライバーの耳に届くのはほとんどわずかなロードノイズのみ、というぐらいなのである。

そうした乗り心地や静粛性の高さに一役買っているのがBSの欧州向けタイヤ、『TURANZA』の採用だ(標準車も)。走りや快適性に定評あるVW『ゴルフ』7や、驚異的な静粛性も自慢のレクサス『LS』にも使われているハイバランスタイヤであり、走りの質感アップに貢献していると思われる。

また、わくわくゲートのサブドアからの乗降性も楽しく快適だ。3列目席を1アクションで床下格納したときのフロアの高さは約500mm(3列目席使用時の荷室開口高は445mm)と低く、小学生や犬でも乗降は容易。新型は2列目キャプテンシートが標準仕様ということもあり、テールゲート側から乗り込み、1列目席(運転席)まで歩いていくこともできるから超便利。

ちなみにどんなボックス型ミニバンでも、3列目席を格納しておけば、テールゲートから車内に乗り込むことは可能だが、テールゲート内側にオープナーはなく、自身で降りることはできない。新型ステップワゴンにはテールゲート内側に、安全のためプッシュロック解除式のオープナーと乗降用アシストグリップが備わっている。この便利さ、楽しさはほかでは体験できない、走りのよさとともに、大人も子供もわくわくできる、新型ステップワゴンの大きな魅力と言っていい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行なっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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