じつに懐かしいネーミングだ。ホンダの50ccスクーター『タクト』が16年ぶりに復活している。エンジンやプラットホームは、昨年2月に新発売された『ダンク』と共通だが、外装はまったくの別モノ。若者の感性に訴えかける新感覚のデザインとした「ダンク」に対し、「タクト」は長く乗っても飽きない安心感のあるスタイリングとなっている。環境性能の高い水冷「eSPエンジン」はスタートから力強く、信号待ちからの加速で後続の四輪車にすぐ追いつかれるという心配がない。メーターの針はあっという間に制限速度の30km/hに達し、それを越えてもなお速度を上げていく力強さだ。新型「タクト」は2本立てになっていて、「タクト」をベースに15mmシート高が低いローシートを装備した「タクト・ベーシック」も選べる。「タクト」では、アイドリングストップ機構も搭載。もはや熟成の域に達していると言え、信号待ちでのエンジン再始動にタイムラグはほとんど感じられない。エンジン停止状態からアクセルを開ければスムーズにエンジンがかかり、何事もなかったかのように加速していく。車体もしっかりしている。軽量・コンパクトで取り回ししやすいが、大きな段差を乗り越えたり、うねりのある路面でも車体が落ち着いていて、50ccクラスとは思えない上質感のある乗り心地。この上質感は若者だけでなく、幅広い年齢層に支持されそうだ。■5つ星評価パワーソース:★★★★フットワーク:★★★コンフォート:★★★★足着き:★★★★★オススメ度:★★★★★青木タカオ|モーターサイクルジャーナリストバイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説している。現在多くのバイク専門誌、一般誌、WEB媒体で活動中。