横から指で押しても倒れそうにない安定感のあるスタンス。新幹線の先頭車両のような、面取りで丸みを帯びたノーズと四角いキャビンの機能的な組み合わせ。意外にも…の前進感。5ナンバーながら全体に破綻なく気持ちよくバランスのとれたルックスが、まずいいと思った。
注目の“わくわくゲート”は、れっきとした乗降用ドアと見做されるのだそう。開口幅、高さとも十分ゆとりがあり、床面が低いこともあり、確かに部屋に入る感じ。リヤゲート全体を含めドアの骨格はスチールなので、閉じ音は樹脂製のようにパフッ! とソフトな音ではない。が、熱線プリントを縦に走らせたり(両端の電極を目障りな左右に置かないため)、リヤウインド内に縦に入る見切り線の幅を黒セル部含め68mmとスリム化(高速走行時、後方83mのバイクのライトをドライバーが左右どちらかの目で視認できるようにしたという)してあったりと、細かな配慮が行き届く。
サイドウインドが思いきり立てられたおかげで、室内空間のゆとりは、最初5ナンバー車だとは思わなかったほど。ワインディングを走らせながら、Aピラーの着地点が前過ぎず、ステアリング操作との違和感もなく、クルマの自然な身のこなしが体感できた。1人での取材につき静止状態で着座しただけだが、2、3列席はシートサイズは欲張ってはいないが、理屈抜きで四角い空間の余裕が実感でき、とくに3列目にそれを顕著に感じた。
ダウンサイジングターボの1.5リットルエンジンは、無理なくクルマを加速させ、途中のレスポンスにも不満は覚えない。16インチタイヤを履く標準車のコチラは、乗り味はゆったりとしたものに仕上げられている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。