【ボルボ V40 クロスカントリー 試乗】新エンジンと良好なマッチングを見せるアイシン製8速AT…会田肇

試乗記 輸入車
全高を30mmプラス。それでいて腰高感は感じさせないのがいい
  • 全高を30mmプラス。それでいて腰高感は感じさせないのがいい
  • V40 クロスカウントリーT5 AWDのサイドビュー
  • V40 クロスカウントリーT5 AWD
  • “Drive-E”を搭載した2L直列4気筒直噴ターボエンジン
  • 「モダンウッドパネル」を称されるパネルをセンターコンソールに採用
  • チャコール/ブロンドのカラーリングを組み合わせた専用本革シート
  • “モダンウッド”と呼ぶ手触り感を高めたパネルを採用
  • DSRC対応ETCと組み合わせたHDDナビは三菱電機製

ボルボ『V40』は導入以来、日本市場で高い支持を獲得して大成功を収めたモデルだ。そのV40に新世代パワートレーン“Drive-E(ドライブ・イー)”を搭載した『V40クロスカントリー T5 AWD』が200台限定車として加わった。その走りの印象をレポートする。

最大のトピックは、この“Drive-E”と呼ばれる高効率と高性能を両立させた最新の2リットル直列4気筒直噴ターボエンジンと、AWD(=4WD)の駆動方式を組み合わせたことだ。エンジンは245ps/350Nm(35.7kg-m)を発生しながら、JC08モード燃費を19%アップの14.8km/リットルを達成。従来のクロスカントリーに搭載していた直列5気筒ターボエンジンと比較してパフォーマンスで大きく上回る。

なかでも見逃せないのはミッションにアイシンAW製8速ATを組み合わせたことで、これが燃費改善に大きく貢献したとみていいだろう。

価格は従来のクロスカントリーよりも54万円アップの439万円。しかし、従来オプション扱いだった装備が数多く標準化されている。チャコール/ブロンドのカラーリングを組み合わせた専用本革シートが備わり、インパネは“モダンウッド”と呼ぶ手触り感を高めたパネルを採用するなど、インテリアは北欧の雰囲気をいっそう感じさせる仕上がりとなった。

セーフティ関連ではボルボが世界に先駆けて実用化した歩行者エアバッグも標準で搭載。また、カーナビゲーションは従来のデンソー製に代えて三菱電機製を標準装備し、ローカルながら音声認識能力を高めたのがウリ。VICSには3メディアに対応したほか、ETCはDSRC対応となったことで、新東名での旅行時間情報も取得可能になっている。

走り出すと軽快なまでの走りは気持ち良さを感じさせるほど。アクセルを踏み込んで行くと小気味良いエンジン音と共に速度が上がっていく。シフトアップも極めて自然でリニアでエンジンとのマッチングも良好。この感覚を味わえば「もうCVTには戻りたくないな」と実感してしまう。今回は一般道だけの試乗であったが、その軽快な走りは高速道でも十分に力を発揮してくれるだろうことを実感した。

運転席の着座位置はスタンダードのV40に比べて30mmほど高い。しかし、それが功を奏して前方が広々とし、ワインディングを走り込んでも安心してステアリング操舵ができる。そのハンドリングも素直で切った分だけクイクイッと曲がっていく。この時の安定感も驚くほどしっかりとしている。

ただ、乗り味は結構硬め。突き上げ感はないものの、特にリアシートに座っていると固さが気になってくる。この日、「V40 オーシャンレース・エディション」を試乗してみると、しなやかで剛性もある乗り心地がとても心地良く感じたことも報告しておきたい。

正直言えば、ネーミングに“T5”が付いたにもかかわらずエンジンは4気筒であることに少々混乱したが、走り始めてそんなことはどこかへ吹き飛んでしまった。それほど走りが気持ち良かったのだ。限定200台であることが本当に惜しいと思うくらいだ。

年内にはディーゼル版も登場されることが予想されるが、その走りにもつい期待がかかる。価格だけを見れば少し高めの印象を受けるが、そう思ったらぜひ試乗をオススメする。その走りに必ずや納得するはずだから。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

会田肇|AJAJ会員
1956年・茨城県生まれ。明治大学政経学部卒。大学卒業後、自動車専門誌の編集部に所属し、1986年よりフリーランスとして独立。主としてカーナビゲーションやITS分野で執筆活動を展開し、それに伴い新型車の試乗もこなす。クルマを購入する時の適切なアドバイスとなるレポートを心掛ける。 

《会田肇》

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