【ダンロップ エナセーブ RV504 試乗】重心の高いクルマに、軽快な走りと心地よい操縦性…斎藤聡

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ダンロップ エナセーブ RV504 試走会
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車高が高く車重の重いミニバンは言うまでもないが、最近では室内の広さを縦方向に求めたコンパクトカーや、全高が1800mmほどの軽自動車が人気だ。こうした重心の高いクルマが、レーンチェンジしたりカーブを曲がったりした時のタイヤの負担を考えてみると、専用タイヤの必要性が見えてくる。

◆低燃費とロングライフを両立したミニバン専用タイヤ

ダンロップの「エナセーブ RV504」はこうしたクルマをターゲットに開発されたタイヤだ。特長は、「ミニバン特有のふらつきを抑えた操縦安定性能」、「低燃費性能」、「良好な乗り心地」、「耐摩耗性に優れたロングライフ性」の4つが挙げられる。

なかでも「エナセーブ」の名前からもわかるように、低燃費性能はRV504のもう一つの大きな特長だ。コンピュータシミュレーションを駆使した材料開発技術“4D NANO DESIGN”によって、低燃費コンパウンドである新シリカ用変性ポリマーを開発。不要な発熱を抑えて低燃費性能をアップした。タイヤグレーディングでは、転がり抵抗/ウエットグリップ=AA/bを獲得。先代モデルとなるRV503のA/bに対し、ウエットグリップ性能を落とすことなく、転がり抵抗で1ランク転がり抵抗の低減を果たしている。

操縦安定性ではスチールベルトのコード量を20%増量し、スチールベルトを抑えるベルトを、フルベルト化することで剛性アップを図っている。トレッドデザインでも、ブロックを太く大きくすることでブロック剛性とリブ(縦のブロック列)剛性をアップ。トレッド面剛性の最適化が図られている。さらに、タイヤ内部側面部に真円プロファイルと名付けられた、丸いサイドウオール(内部)形状を採用するなどして、剛性バランスを整え操縦性と応答性を向上。トレッド面剛性の最適化は、接地面圧の均一化にもつながっており、耐摩耗性と編摩耗性をアップし、結果的にロングライフ性を高めている。

◆新旧モデルを乗り比べ、乗り味と操縦性が向上

今回の試走会は、名古屋近郊の猿投スカイラインとその周辺の一般道で行われた。トヨタ『アルファード』と『エスクァイア』に、それぞれRV504と先代モデルとなる「RV503」を履かせて比較試乗することができた。

一般道なので定量的な比較はできなかったが、印象としては進化の具合が見て取れた。もっとも違いを感じたのは、操縦性というか操縦感覚の違いだ。RV503はミニバン専用タイヤとして必要なケース剛性を出しながら、乗り心地にソフトさを持たせ、トレッドブロックも小さく、(ブロック剛性的には)ソフトなセッティング。そのため低速域での乗り心地が良かった。

RV504は乗り心地全体に張りがある印象で、ソフトというよりもしなやかといった感触だ。突起を乗り越えた時も、タンと軽いショックのあと、振動が尾を引かずスッと減衰。そのため歯切れのいい乗り味と感じる。ダンピングが適度に効いたタイヤ独特の乗り味だ。RV503は車速が低い場合はトンと突起を柔らかく乗り越え全体にショックもマイルドだが、車速が高くなると後に振動が残り、やや後味が悪い。

そして、このダンピング≒タイヤの剛性が、操縦性にも関係してくる。RV503は前輪で曲がっていくような印象で、街中では気にならないが、峠道だとクルマの動きがやや鈍い感じになる。ところがRV504は、ボディ全体でクルマの向きが変わってくれる。シャープさとか鋭さはないのだが、ハンドルを切ったぶんだけ素直にクルマが向きを変えてくれる。リヤタイヤの応答が良いタイヤはえてしてこうした動きが出るので、RV504もリヤの応答性にかなり気遣って作られたタイヤなのだろう。

大した差ではないように感じるかもしれないが、毎日の運転の中で何気なくハンドルを切りだしたその瞬間に、クルマが気持ちよく素直に曲がってくれるのは、かなり心地よいことではないかと思う。しかも、発進時のクルマの軽さ、アクセルをちょっと戻した時のいかにも転がり抵抗の少なそうなタイヤの転動感は、ミニバンの重さ、鈍さから解放されたような軽快感がある。

グレーディングの評価は正確なので、燃費にももちろん反映され、給油した時のうれしさも味わえるだろうが、なにより軽やかに走れる心地よさとか、思いどおりにクルマが動いてくれる操縦感覚も得られるはず。それがRV504の一番の魅力といっていいと思う。

《斎藤聡》

斎藤聡

特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。

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