メイド・イン・ジャパンの本格派電動スポーツバイク『zecOO(ゼクー)』に、ついに乗った!
全長2450×全幅80×全高1160mm、重量280kgの車体は、SFアニメに登場しそうな近未来を思わせるスタイル。ホイールベースは1830 mmと長く、ロー&ロングの車体を究めている。
搭載される電動モーターの公式スペックは、最大出力50kW(約67ps)、最大トルクは144Nm。最高速度は160km/hで、レシプロエンジンを積むバイクで言うなら、動力性能は600~750cc程度となる。
「エコ」「スポーツ」、そしてオーナー自身が自由に設定できる「カスタム」、3つのライディングモードが選べ、「スポーツ」にすると力強い加速が味わえた。
低重心に加え、240mm幅のリアタイヤとロングホイールベースが相俟って、直進安定性は高い。リアタイヤにトラクションがしっかりかかり、瞬時にスピードは100km/hを超えていく。
注目はフロントのハブステアリングで、ハンドリングはきわめて特殊。完全セパレートのハンドル右側グリップをライダー側に引くと右に舵が切れ、左グリップを引くと左に曲がる。
超低速でふらつくケースがあるものの、スピードが乗ってくると安定感があり、新感覚な操作フィーリングが面白い。
開発陣が「既存のバイクと競うつもりはない」という通り、『zecOO(ゼクー)』は従来のライディングフィールや既成概念にとらわれていない。作り手たちがただ純粋に、見て、乗って面白いという感覚を追求している。
購入者の希望や体格に合わせ、ハンドメイドでつくりあげる『zecOO(ゼクー)』。「人とは違う究極の1台を」という人には、888万円の価値は充分にありそうだ。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★
快適度:★★★★★
航続距離:★
期待度:★★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説している。現在、多くのバイク専門誌、一般誌、WEB媒体で活動中。