JAXAと東大、宇宙実験技術でホウ素の謎を世界で初めて解明

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静電浮遊法
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宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所の岡田純平助教、石川毅彦教授と東京大学の木村薫教授を中心とする研究グループは、宇宙実験技術を活用してホウ素の謎を解明したと発表した。

研究グループは、宇宙実験技術「静電浮遊法」と大型放射光施設SPring-8を使って、溶融したホウ素の電子構造を解明することに世界で初めて成功した。これまで理論的には金属ではないかと考えられていたホウ素融体が、金属ではなく、半導体的性質を強く持つことを明らかになった。

ホウ素(B)は、軽くて硬いという特徴を持ち採掘が容易なことから古くから人類が用いてきた元素。ホウ素を含む材料は、ガラス製品の母材の酸化ホウ素(B2O3)、日本で発見された高温超伝導材料のニホウ化マグネシウム(MgB2)、硬く、研磨剤などに使われるボロンカーバイト(B4C)など、さまざまな形で利用されている。

ホウ素の性質はこれまで、さまざまな研究が行われてきたものの、ホウ素の溶融状態については、2000度を超える高い融点を持ち、ホウ素の融体を保持する容器が存在しないことが障害となり、性質が良く分かっていなかった。

今回の研究成果で、ホウ素の溶融状態の性質が、理論的に予想された性質と異なることが分かった。

こうした物質を正確に理解し利用することで、新たな材料開発につながる。

今回の研究成果は、米国物理学会誌「Physical Review Letters」に掲載され、オンライン版でも近く公開される。

《レスポンス編集部》

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