【トヨタ ランドクルーザー70 試乗】豊かな乗り味と過酷な環境で活躍してきた強み…藤島知子

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トヨタ ランドクルーザー70
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道無き道を走破できる耐久性を備え、過酷な使用環境で命を守るクルマとして活躍してきた『ランドクルーザー70』(ランクル70、ナナマル)。

5速MT仕様のみの設定だが、V6 4リットルのガソリンエンジンは低回転から豊かなトルクを発揮するため、MT車ながらクラッチワークは神経質なところはなく、比較的扱いやすい。実際にぬかるんだオフロードを走行してみると、極低速の走り出しからタイヤが滑らかに転がりだす。

本格派を謳う現代的なSUVは数々の電子制御でクルマ側がドライバーをフォローする安心感をアピールするが、ランクル70はいざという時の修理のしやすさや中古パーツの入手のしやすさや信頼性を考慮して、30年間変わらずに使い続けてきたラダーフレーム構造とリジッドサスペンションの基本構造を使い続けた超アナログなモデルといえる。

今にもタイヤごと滑り出しそうな急勾配の下り坂では不安になったが、ブレーキはコントロール性に優れ、足裏の感覚でブレーキの効き具合が手に取るように伝わり、わずかな動きが調整しやすい。

大きな凹凸を乗り越える時、一輪が地面を離れて車体が大きく傾いてしまっても、堅牢なボディはミシリともいわずに、残りのタイヤが踏ん張って窮地を脱していく姿は頼もしい限り。横滑り防止装置のESPを駆使してタイヤのグリップ感を得ようとする電子制御のSUVと比べると、機動性のレベルは格段に高い。

ここ日本では、そこまでハードに使うケースは限られているかも知れないが、オンロードがメインで走らせる場合でも、豊かな乗り味とこのクルマが過酷な環境で活躍してきた背景を思うだけで所有する喜びを与えてくれそうだ。堅牢なフレームボディは路面側からの振動やノイズが車内に伝わりにくく、快適に移動できる。ただ、小回り性は期待できず、交差点を曲がる時など、ハンドルの反力は結構重め。

簡単に乗り手を甘やかさない走りは、乗用車的に走れてしまうSUVと比べると、随分ぶっきらぼうなものに感じるかも知れない。折りたたみ式の後席は商用車のハイエースのようにシートの構造は極めて簡素。いざという時は座面毎跳ね上げて大量の荷物が載せられる荷室空間を確保できるので、本格的なキャンプを楽しむようなケースでは使い勝手のよさとタフな走りがマッチして重宝しそうだ。

■5つ星評価
パッケージング :★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

藤島知子|モータージャーナリスト
幼い頃からのクルマ好きが高じて、2002年からワンメイクレースに挑戦。市販車からフォーミュラカーに至るまで、ジャンルを問わず、さまざまなレースに参加している。2007年にはマツダロードスターレースで女性初のクラス優勝を獲得した経験をもつ。現在はクルマの楽しさを多くの人に伝えようと、自動車専門誌、一般誌、TV、WEB媒体を通じて活動中。走り好きの目線と女性の目線の両方向から、カーライフ全般をサポートしている。COTYの選考基準は、クルマと共に過ごす日常において、気持ちを豊かにしてくれるクルマかどうかに焦点を当てる。

《藤島知子》

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