ラジエターシュラウドやタンクのサイドパネルが一新され、シャープで引き締まった印象となった『タイガー800』シリーズ。
95psを9250rpmで発揮する並列3気筒エンジンは、フラットなパワーカーブで扱いやすいが、4000rpmを超えた頃からより力強くなり、7000rpm以降は突き抜けるように勢い良く回り、じつにパワフル。メカニカルノイズが減り、上質感がよりいっそう高められた。
フロント19、リア17インチの足まわりは、ロード寄りのタイヤを履くことからもわかるとおりオンロード志向。ショーワ製の43mm倒立フォークは硬めのセッティングで、アスファルトの上でのスポーティな走りに対応。オフロード志向の兄弟車「タイガー800XC/XCx」(フロント21インチ、スポークホイール、WP製倒立フォーク)と、うまく差別化されている。
とはいえ、オールラウンダー。ハードなダートでは分が悪いが、ライディングモードを「オフロード」にすれば、ABSとトラクションコントロールの介入を減らし、スリップも許容。フラットダートなら、アドベンチャーモデルらしいダイナミックな走破性を発揮する。
ちなみに電子制御システムはより充実していて、スロットルマップは「レイン」「オンロード」「スポーツ」「オフロード」の4段階を設定。
そして、ABS、トラクションコントロール、スロットルマップが自動的に設定されるライディングモードとして「オンロード」「オフロード」「プログラマブル・ライダー」の3種類があり、ライダーは目の前の路面に最適なモードを選べる。
高速道路を使ったツーリングも快適にこなせるよう、クルーズコントロールの装備があるのも嬉しいかぎりだ。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
コンフォート:★★★★
タンデム:★★★★
オススメ度:★★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説している。現在多くのバイク専門誌、一般誌、WEB媒体で活動中。