「免許取りたて」「MT車20年ぶり」「職業は僧侶」…“走りたい女性”集まる、マツダ・ウィメン・イン・モータースポーツ・プロジェクト

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マツダ・ウィメン・イン・モータースポーツ・プロジェクト2015メンバーのお披露目(モータースポーツジャパン15)
  • マツダ・ウィメン・イン・モータースポーツ・プロジェクト2015メンバーのお披露目(モータースポーツジャパン15)
  • マツダ・ウィメン・イン・モータースポーツ・プロジェクト2015メンバーの加藤沙也香さん
  • マツダ・ウィメン・イン・モータースポーツ・プロジェクト2015メンバーの北平絵奈美さん
  • マツダ・ウィメン・イン・モータースポーツ・プロジェクト2015メンバーの倉本志保さん
  • マツダ・ウィメン・イン・モータースポーツ・プロジェクト2015メンバーの蓬茨夕美さん
  • 井原慶子氏
  • マツダ・ウィメン・イン・モータースポーツ・プロジェクト2015メンバーのお披露目(モータースポーツジャパン15)
  • 井原慶子氏

11日、都内で開催された「モータースポーツジャパン2015 フェスティバル イン お台場」にて、「マツダ・ウィメン・イン・モータースポーツ・プロジェクト2015」の選出者が発表された。

ウィメン・イン・モータースポーツは、2009年にFIA(国際自動車連盟)で発足された、女性のモータースポーツ界への進出を推進するプロジェクト。日本では昨年JAF(日本自動車連盟)がワーキンググループを立ち上げ、レーサーの井原慶子氏を中心としてPR活動をしている。また、マツダは同プロジェクトに協賛し、参加者の公募やプロジェクトトレーニング用の車両として『ロードスター』(NC型)の提供などサポートを行う。

応募のダウンロードは200名以上、最終的な応募者67名の中から26名が選出された。井原氏は「モータースポーツに参加したいという女性がこれほど多くいることに驚きました。不合格にするのは本当に申し訳ない気持ちで、夜中に起きて履歴書を見直したりもしていた」と選考の苦労を語る。「みなさん、結婚したり、子どもを産んで育てたり、転職したりと、女性ならではの色々な人生のフェーズがあると思います。ですから、これまで(レースに興味があっても)我慢しなければならなかった、でもそのフェーズを乗り越えて応募した、という話を聞いていると、たくさんの方に機会を持っていただきたくなり、選ぶのは本当に大変でした」。

特徴的なのはその応募条件だ。普通免許を保有する18歳以上の女性で、レース経験の必要も年齢の上限もない。国籍も不問だ。職歴も経験も様々な10~50代のメンバーが、日本全国(一都一府十二県)から集まった。

最年少の加藤沙也香さんは、18歳。以前からカートのチームに所属し、プロを目指してレースをしてきたが、普通免許を取得したのは昨年の秋だという。工業高校の機械科を卒業し、大学は「レースの世界で必要だから」と英語科を選んだ。まさにクルマとレースを軸にして将来を見据えている。「カートはハンドルをあまり切らなくても曲がるけれど、自動車はそうではないので全然違うと感じました。父が以前マツダ車に乗っていて、ロードスターのレースがあることも知っていたので、来週のレッスンで乗れるのはとても楽しみ」と話す。今後の意気込みについて聞くと、「この機会を活かして、自分がプロを志していることをもっと知ってほしい。最終的にはSUPER GTのレーサーを目指して頑張ります」と語ってくれた。

21歳の北平絵奈美さんもカートの経験者で、現在は保育士をしている。「10年以上カートを続けて、全国大会で優勝したのと、就職を機に一度やめることにしました。就職することは親との約束で、1年間ちゃんと働いたら好きなことをしてもいいと言われてたので、今回やはりレースの世界に戻りたいと思い応募しました」という。“また走りたい”という思いを捨てきれなかった彼女は、父親の勧めで、今の仕事と両立できる今回のプロジェクトに応募。「四輪の世界は分からずMT車にも乗ったことがないので不安もありましたが、親が初代ロードスターを買ってくれたので、これから慣れていこう思います。いずれは世界で闘えるレーサーになれるよう、ステップアップしていきたい」という。

一方、広島県在住で専業主婦の倉本志保さんは、「まさか受かると思っていなかった」と驚きを語る。「地元の中国新聞にマツダさんがこのプロジェクトに協賛するという記事が載っていました。ちょうどその頃務めていた会社を退職したところだったので、“これは!”と思い応募を決めました。また、(野球の)カープ以外に広島が注目されることがあったらいいなとも思っています」。これまでは通勤と子どもの送り迎えで日常的に運転をしていたのもの、サーキット走行の経験はない。「ただクルマと運転が好きというだけで、応募しました。MT車に乗るのも20年ぶりくらい。細かいことはわからないので緊張しますが、レッスンで思い切り走れるのを楽しみにしている」と話す。家族も協力的で「主人は自分が参加したいと思っている様子、中学生の娘も応援してくれています」と笑顔を見せた。

また、蓬茨夕美さんは石川県のお寺で副住職を務める異色のプロフィールを持つ。だが、聞いてみるとお坊さんでもモータースポーツ好きや、レースに参加している人は意外といるのだそう。「お坊さんでも宗派を飛び越えて一緒にレースへ出たり、クラブマンレースで優勝するくらいの方もいます。私と、今のお寺の住職である主人との出会いもレース会場でした」。他者と順位を闘うことは、仏教の教えに反しないのかと尋ねると、「競争するということは、人間の欲望であり、その中で正直に生きるというのも教えの一つ。また、勝つことの喜びというよりも、“自分の限界に挑む”という思いでやってる方もいます」と答えてくれた。今も現役でレースに出たり、ジムカーナレースのアナウンサーを務めているという彼女。「これまでは軽自動車でジムカーナをやってきましたが、カテゴリーを広げるという意味でも参加を決めました。このプロジェクトで得た経験や知識を持ち帰って、レースアナウンサーの仕事にもキックバックしたい」と話した。

経歴も生活環境もそれぞれ異なるプロジェクトメンバー。しかし、そこには「クルマが好き」「もっと走る楽しみを味わいたい」という共通の思いがあった。来週には月1回1泊2日のレッスン(計4回)が始まり、その後優秀者は「マツダエンデュランスレース」や「ロードスターメディア対抗4時間レース」に参戦する予定だ。ステップアップしていけば「グローバルMX-5カップ」や「スーパー耐久」への参加機会も与えられるという。

《吉田 瑶子》

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