【スズキ アルト ターボRS 試乗】かっ飛び系じゃない、対話できるスポーツ…藤島知子

試乗記 国産車
スズキ アルト ターボRS
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『アルト』というと、ここ最近は愛嬌あるキャラで燃費志向のイメージがすっかり定着していたが、8代目にはターボエンジンを搭載したモデルが2世代ぶりに復活し、「ワークス再来か?!」と興奮気味の輩も少なくない。

しかし、今回はワークスという名を受け継いだワケではなく、「ターボRS」というネーミングに変更された。『スイフトスポーツ』の走りが時間を経て洗練されていったように、アルトのターボRSはワークス的な“かっ飛び系”ではなく、日常的なシーンから本格的なスポーツドライビングまで気持ちよく対話できるスポーツモデルとして生まれ変わっているのだ。

660ccの吸気VVTターボエンジンに組み合わされるのは、2ペダルで操作ができるシングルクラッチ式のトランスミッション「5速オートギアシフト(AGS)」。変速はクルマ側が自動で行ってくれるが、走り好きはMTライクに手動変速をしてスポーティなドライビングを満喫できるし、AT限定免許でも乗れるメリットも兼ね備えている。

ターボ RSに搭載されるAGSはRS専用にチューニングが施されたもので、マニュアルモードでパドルを操作すると、素早い変速レスポンスを披露する。車体剛性を高めたボディはスポット溶接の増し打ちや補強パーツを追加しながらも、車重はFFモデルでわずか670kg。最小限の重量増で効果的に剛性を高めつつ、しなやかな足取りでカーブを次々とクリアしていくフットワークの軽い走りをみせる。

ワインディングをペース良く流していくと、生き生きと姿勢を変えていく操縦性の高さを発揮。うねりなどで路面の状況が変化するようなシチュエーションでも、よほど飛ばさない限りはタイヤがしっかりと路面を捉えていく安心感が得られる。

AGSの変速リズムはひとクセあって、走りはじめは変速するタイミングとアクセル操作のリズムが合わずにギクシャクしてクルマが前後に揺すられるが、ドライバーがリズムを掴み、クルマの意思を汲み取りながらアクセルペダルを緩めるタイミングを見計らって操作できるようになると、クルマの気持ちを汲み取りながらスムーズに走らせられる充実感がたまらなく楽しい。

また、操作系をみると、ハンドルは細めの径のものを採用していて、手の内に収まる感触がスモールカーらしさに溢れている。背伸びしすぎたりしない、どこかホッとさせる居心地の良さを与えてくれるところもアルトらしい魅力といえるだろう。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

藤島知子|モータージャーナリスト
幼い頃からのクルマ好きが高じて、2002年からワンメイクレースに挑戦。市販車からフォーミュラカーに至るまで、ジャンルを問わず、さまざまなレースに参加している。2007年にはマツダロードスターレースで女性初のクラス優勝を獲得した経験をもつ。現在はクルマの楽しさを多くの人に伝えようと、自動車専門誌、一般誌、TV、WEB媒体を通じて活動中。走り好きの目線と女性の目線の両方向から、カーライフ全般をサポートしている。COTYの選考基準は、クルマと共に過ごす日常において、気持ちを豊かにしてくれるクルマかどうかに焦点を当てる。

《藤島知子》

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