【キャデラック エスカレード 試乗】キャデラックのカスタマーが求める乗り味とは…山崎元裕

試乗記 輸入車
キャデラック エスカレード (写真は米国仕様)
  • キャデラック エスカレード (写真は米国仕様)
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キャデラックの新型『エスカレード』に試乗した。初代モデルから数えて、これが第4世代となるプレミアムSUVのエスカレード。アメリカ本国では、すでに2014年からセールスはスタートしているが、日本市場では今年から本格的なセールスが始まる。

ちなみに先日発表された日本仕様には、装備の違いで「プレミアム」と「プラチナム」の両グレードがあり、価格はプレミアムが1149万円、プラチナムは1249万円という堂々たる数字。それは「キャデラックのSUV」というよりも、あくまでも「SUVの姿をしたキャデラック」と考えるべきだろう。

新型エスカレードは、まずエクステリアとインテリアのデザインで、見る者を刺激するニューモデルだ。全長×全幅×全高で5195×2064×1910mm。ホイールベースは2950mmで、車重は2650kg。このスペックからも想像できるように、オンロードでの存在感は、アメリカの地においても圧倒的。エクステリアのデザインは、最新の『ATS』や『CTS』といったキャデラックにも共通する、シャープで力強いラインを特徴とするもの。大きなグリルとLEDを採用したヘッドランプで構成されるフロントマスクは、特に印象的なディテールといえる。

インテリアも、このエクステリアと同様に、ニューモデルとしての斬新さが見事に演出されている。高級感のあるレザーなど、魅力的な素材の選択はまさにキャデラックの作。3列式のシートレイアウトを採用し、乗車定員は7名とされるから、その機能性は高い。サードシートへの乗降には、セカンドシートを前方に倒す必要があるが、そのプロセスも煩雑なものではない。

装備内容の充実も特筆すべきポイントだ。日本仕様では、残念ながらキャデラックがアメリカで展開する「オンスター」のサービスが提供されないため、4G-LTE回線を使用したWi-Fiシステムなど、一部の装備は省略されてしまうことになるが、8インチのカラーインフォメーションディスプレイを使用するインフォテイメントシステムの「CUE」には、地上デジタルTVの機能を備えた総合制御ナビゲーションも統合される予定であることなど、装備内容は日本市場を十分に意識している。

搭載されるエンジンは、最高出力で426psを発揮する、6153ccのV型8気筒。直噴システムや気筒休止の機能を備え、先代モデルに対して約17%の燃費改善を実現しているのも大きな話題だ。実際のパフォーマンスは、先に紹介した重量級のウエイトを負担するにも十分なもの。ミッションがアメリカ本国の8速ATではなく、輸出市場では6速ATが搭載されるのは残念だが、加速のフィーリングなどに不満を感じることは、今回の試乗ではほとんどなかった。セレクタブル4WDの機能を含め、パワートレーンのフィーリングは素晴らしかった。

その一方で、個人的にはややその味つけに不満が残ったのはサスペンションだった。磁性変化によって減衰力を瞬時に変化させるマグネティックセレクティブライドコントロールを採用する、新型エスカレードのフットワークだが、組み合わされるタイヤが22インチ径という事情もあるのだろう、その乗り心地は想像以上にハードなのだ。

もちろんそれは、コーナリング時に見事なスタビリティを披露する理由となっているのだが、ストリートやハイウエイなどでの日常的なシーンでは、その硬さばかりが顕著に伝わってくる。さらにセカンドシートやサードシートではさらにその傾向は強い。キャデラックのカスタマーが求めるものは、はたしてこのような乗り味なのか。その疑問は最後まで消えなかった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

山崎元裕|モーター・ジャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
1963年新潟市生まれ、青山学院大学理工学部機械工学科卒業。少年期にスーパーカーブームの洗礼を受け、大学で機械工学を学ぶことを決意。自動車雑誌編 集部を経て、モーター・ジャーナリストとして独立する。現在でも、最も熱くなれるのは、スーパーカー&プレミアムカーの世界。それらのニューモデルが誕生 するモーターショーという場所は、必ず自分自身で取材したいという徹底したポリシーを持つ。

《山崎 元裕》

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