【トヨタ サクシード 試乗】廉価なコンパクトレジャーワゴンとしても活躍しそう…青山尚暉

試乗記 国産車
トヨタ サクシード
  • トヨタ サクシード
  • トヨタ サクシード
  • トヨタ サクシード
  • トヨタ サクシード
  • テーブル
  • AC100V/100W DC12Vコンセント
  • トヨタ サクシード
  • リヤウインドーは手動開閉

営業マン御用達の働くバン、トヨタ『サクシード』のビッグマイナーチェンジ版に乗ってみた。

見た目の第一印象は「ボクシーさは変わらないけど、ずいぶんワゴンっぽくなったじゃん」というもの。

エンジンは兄弟車の『プロボックス』より上級の位置づけとなるサクシードの場合、1.5リットル+CVTの組み合わせ。JC08モード燃費は18.2km/リットルと、会社の経理もニコニコの好燃費性能を誇る。

ちなみに実燃費は、東京の首都高を80km/hで流すと17km/リットルはいくから申し分なし(1名乗車、荷物なし)。

この種のクルマは基本的に前席2名乗車。だからパッケージ、使い勝手も前席優先。驚いたのは前席回りの収納や装備の充実度。仕事の合間に車内でランチもとれる引き出し式テーブル(A4ノートパソコンも置ける)や、スマホホルダー、その充電用の100V/100W & DC12Vコンセントまである。センタートレーはビジネスバッグがすっぽり置けるサイズである。ドリンクホルダーはビジネスユーザーの要望に応え、1リットルの紙パックだって入るように配慮されている。

さらに荷室が満杯のときにうれしいルームミラー内蔵型バックモニターも 4万3200円で用意されている。

もちろん、サクシードは走りの質感や乗り心地の良さで語るクルマじゃないけど、今や車両安定装置のVSC&TRC、ヒルスタートアシスト、緊急ブレーキシグナルまで完備。安全性にもぬかりはない。

その走りっぷりはひいき目に見ても「バン」そのもの。しかし前席の乗り心地はそんなに悪くない。段差越えではショックが大きめだが、もっと乗り心地の硬いコンパクトカーだってあるのだ。気になるのは走行ノイズ。遮音、 吸音材にお金をかけられないのがその理由だが、それでも助手席でうるさくて寝られないほどじゃない。

動力性能はこの1.5リットルエンジンなら高速走行も不足なし。カーブでもグラリとせず安定感は上々。不安なく走れるのが最新のサクシードなのである。最小回転半径も4.9mと小回り性抜群だ。

働くクルマとして注目すべきは荷室。フロアは汚れが気にならないビニール 張りで(後席背後も)、スクエアな開口部は幅117cm、高さ85cm。通常状態のフロア奥行きは107cm、幅113~138cm。高さ125cm。後席を倒せばほぼフラットなフロアになり、奥行きは170cmに拡大。さすが営業マンのベストパートナーらしい頼りがいある広さ、容量だ。

そんなサクシードに接したついでにわが家の大型犬を荷室に乗せてみたけれど 、開口部地上高57cmは多くのステーションワゴンより低く、開口部に段差なく、フロアも広く天井が高いから、乗り降りは快適そうだった。

そうした使い勝手の良さから、けっこうコンパクトワゴンとして使えるんじゃないか…なんて思えたのも本当だ。運転席回りの収納や装備は一般ユーザーだって感動モノ。白とかシルバーだと営業車らしさムンムンだが、黒などダーク色だと精悍。150万円ほどだから、スタイリッシュにドレスアップして遊ぶ素材としてうってつけかもだ。犬を乗せるのにも最適で、荷室部分はカーペット類が一切ないからにおいも付着しにくく、掃除しやすかったりする。

ただ、注意したいのは後席。平板でクッションが薄く、短距離ならまだしも、長距離、長時間の着座はゴメン…のシートなのである。だから基本、2人乗りと考えたい。一般ユーザーなら、2名乗車が基本の、アウトドア派、スポーツ派、愛犬家に薦めたい格安ワゴンである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。

《青山尚暉》

【注目の記事】[PR]

編集部おすすめのニュース

特集