このクルマ、その名を『ストラティ』という。 昨年シカゴで開催されたインターナショナル・マニファクチャリング・テクノロジー・ショー(IMTS)に出品された、3Dプリンターで完成された世界初の車である。
デトロイトショーでもこの車の走行デモンストレーションが行われた。これを作り上げたのは、ローカル・モータース。アリゾナ州フェニックスにあるこの会社は、もともと少量生産の車を作り上げる会社としてスタートした。しかし、研究機関であるオークリッジ・ナショナル・ラボラトリーと共同で、オリジナルの3Dプリントで制作した車を完成させ、いま北米でも脚光を浴びている。
そもそも3Dプリントといってもそれはかなり広範なことを意味するようで、車を作り上げるにはBAAM(Big Area Additive Manufacturing)という制作方法で作り上げている。プロセス自体は卓上の3Dプリンターと同じFDM(fused deposition modeling)という技法を使っているそうだ。
それはともかくとして、このストラティ、イタリア人のデザイナー、ミカエル・アノエによるスタイリングを、上述した手法によって完成させたもので、バッテリー、モーター、電装設備、並びにサスペンションなどクルマの駆動システムは、ルノー『トゥイジー』、つまりは日産の『チョイモビ』と同じモノを使っている。しかし、それ以外の外観やシャシーはカーボンファイバーを混ぜ込んだABS樹脂でできている。
このクルマ、今のところプリントアウトするのに44時間が必要だそうだが、その時間は今後の開発で短縮でき、24時間以内に完成できることを目指しているそうだ。 それだけではない。ローカルモーターでは2015年中にこのクルマの市販を前提に、開発を進めているというのである。
現状でもこれが走れる3Dプリンターで作られた世界初のクルマ。もし発売されるとなれば、これも世界初の3Dプリンターカーとなるわけである。考えようによっては、自分がデザインしたクルマを3Dで出力して、既存の動力源にドッキングすれば、世界で唯一のクルマに乗ることも可能。そんな世界が3Dプリンターによって実現しつつあるということだ。