ルノー『ルーテシア』に0.9リットルのターボ仕様エンジンを搭載するゼンが追加された。これまでのルーテシアに搭載されていたのは直列4気筒1.2リットルの直噴ターボだけだったが、今回のゼンには3気筒0.9リットルの直噴ターボが5速MTとの組み合わせで搭載された。新開発の0.9リットルエンジンは、これまでの4気筒1.2リットルのうち1気筒をカットして3気筒にする形で作られたもの。動力性能は排気量相応という感じで66kW/135Nmに抑えられている。動力性能の数値は控えめなものながら、エンジンとトランスミッションの違いから0.9リットルのゼンは1.2リットルのゼンに比べて60kgも軽い。走りそのものに不満はなく、ワインディングに見立てた首都高の都心環状線を軽快に走らせることができた。ゼンの5速MTはシフト操作がとてもしやすかった。クラッチペダルは軽くてストロークも適度なものだし、シフトレバーも軽くて楽々と入る感じがあった。スポーティカーのMTとは異なるものの、操作のしやすさは上々のレベルである。インパネにはシフトアップ・インジケーターが設けられていて、ECOモードでは2000回転くらいから、ノーマルモードでは3000回転くらいからシフトアップを促す表示が出る。この表示の出方は車速によっても変わる。ECOとノーマルのメリハリは割とはっきりしているが、ECOにすると走らなくて物足りないという感じではなく、ECOでもそれなりの加速感を味わえた。0.9リットルエンジンのゼンには1.2リットルにはないスタート&ストップ(アイドリングストップ)機構が備えられていて、これも燃費に貢献している。この日の試乗でも首都高を中心に走らせながら40km弱の距離を走った結果、17.5km/リットルをマークした。乗り心地の良さはフランス車のもので、ゼンは16インチタイヤを履くことも乗り心地につながっている部分があると思う。空気圧も220 / 200で、燃費のために無理やり高めの空気圧設定にしてはいない。車速感応式の電動パワーステアリングは低速はかなり軽めの印象だが、走らせていくと自然に手ごたえが増してくる。ルーテシアは新世代のルノーデザインを採用したモデルで、外観デザインはコンパクトカーの割に存在感のあるものだ。0.9リットルのゼンにも16インチのアロイホイールが標準で装備されていて、エントリーグレードながら貧弱な印象はない。インテリアもデザインは上級グレードと共通で、エアコンがマニュアルになることやバックソナーが装備されないことなどが、上級グレードのインテンスとの違いである。0.9リットルのゼンの価格は208万円。できれば200万円を切る価格を設定してほしいところだったが、消費税8パーセント時代においては、これでも十分にエントリーグレードにふさわしい価格といえる。ルーテシアの1.2リットル車は全車が6速のデュアルクラッチなので、マニュアル車で運転を楽しみたいユーザーには貴重な存在である。たくさんは売れないだろうが、着実な売れ行きを示すのではないか。■5つ星評価パッケージング:★★★★インテリア/居住性:★★★★パワーソース:★★★★フットワーク:★★★★オススメ度:★★★★松下宏|自動車評論家1951年群馬県前橋市生まれ。自動車業界誌記者、クルマ雑誌編集者を経てフリーランサーに。税金、保険、諸費用など、クルマとお金に関係する経済的な話に強いことで知られる。ほぼ毎日、ネット上に日記を執筆中。
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